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戦国異伝供書
第十一話 退く中でその六
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 信長は朝倉家との再戦だけでなく浅井家との戦の用意にも入った、家康は今度は一万の軍勢を率いて来て朝倉家の軍勢を突き破り信長は浅井家の軍勢を退けた。そのまま余勢を駆って朝倉宗滴を破り朝倉家を完全に降してから浅井家の本城である小谷城を攻めてそうして長政も浅井家も再び織田家に降した。だが。
 その後でだ、信長は長政自身と陣で二人きりになりそのうえで話した。話すことはただ一つだけだった。
「ではそなたもか」
「はい、父上が突如です」
「織田家を討てと言ってきてか」
「驚きました、ですが」
「その時はじゃな」
「とてもです」
 長政は信長に首を横に振って答えた。
「止められませんでした」
「何時になくか」
「気迫がおありで」
「覇気のある御仁ではなかったな」
「はい、しかし」
 それでもというのだ。
「その時の父上は違い」
「お主も他の家臣の者達もか」
「お止め出来ませんでした」
「妙な話であるな、ではじゃ」
 信長は長政にさらに問うた。
「もう一つ聞きたい」
「あの髑髏のことですか」
「黄金の髑髏を持っておられたが」
 久政、彼はというのだ。
「あれは何じゃ」
「それもそれがしにもです」
 長政は全く訳がわからぬといった顔で信長に述べた。
「わかりませぬ」
「あのこともか」
「黄金の髑髏なぞ」
「見たこともなかったか」
「生まれてこの方」
「浅井家になかったか」
「聞いたこともありませぬ」
 浅井家の主となって久しい長政もというのだ。
「無論父上もです」
「そうしたものがあるとはか」
「それがしにお話したことも」
「家督を継いだ彼にそれはな」
「有り得ませぬな」
「到底考えられぬ」
 このこともというのだ。
「あの御仁にとってはな」
「そうじゃな、黄金の髑髏なぞわしもじゃ」
「義兄上もですか」
「見たことはない、当然聞いたこともな」
 こちらもというのだ。
「ない」
「左様ですか」
「あれは左道のものか」
 信長はこう見た。
「若しや」
「左道ですか」
「わしはそうしたものには興味がなく疎いが」
 しかしと言うのだった。
「どうもな」
「この度のことは」
「そんな気がする」
 勘からだ、信長はこのことを感じ取っていたのだ。
「気のせいともな」
「思えませぬか」
「勘十郎の時と同じものを感じる」
「ではあの方は」
「あの津々木という者急に姿を消した」
 信行を惑わしていた彼をというのだ。
「あ奴は間違いなくな」
「左道の使い手でしたか」
「そうとしか思えぬ、それでじゃ」
「勘十郎殿の時と父上は」
「話を聞く限り似たものを感じる、しかもな」
「黄金の髑髏ですか」
「あの様なものどう見ても普通に使うものではない」
 その不気味さと
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