インテグラル・ファクター編
悲しみを乗り越えて
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まさか!?
「何やってんだケイタ!!」
「離してくれよアヤト!!僕はもうダメだ….…あいつらは死んでしまった。ビーターに、キリトに騙されてな!僕は、あいつらがいない世界なんて生きていけない……あいつらの元に行かなきゃ……」
「甘ったれんな!!」
俺はケイタを引きずり下ろす。ケイタは驚いたように目を大きく見開いていた。
「あいつらがいない世界なんて生きていけない、だから自分も死ぬだと?ふざけんな!お前が死ぬ事とあいつらの死を同一視すんな!あいつらは立派に戦って仇を取ろうとして、仲間を守ろうとして死んだんだ。お前の自殺とは天と地ほどの差があるんだよ!それにお前が死んだらサチはどうするんだよ。仲間を失って悲しいのはお前だけじゃない。サチもだし、言うなら俺もだ。お前がビーターって蔑んだキリトだってそうだ。この際俺たちは置いておいても、お前が死んだらサチは今のお前以上苦しむことになるんだぞ!それでもいいってのか!?」
俺はケイタの胸倉を掴んで怒鳴る。ケイタは途中俯いて話を聞いていた。俺が話し終えるとケイタは顔を横に傾け、サチの方を見る。サチは涙を流しながらケイタを見ていた。
「そう……だよな。僕のこの悲しみは僕だけのものじゃないよな……。ごめん」
俺は手を離すと、ケイタは懺悔の言葉と共に泣き出した。
すると、サチがこちらにやってきてケイタの頭を撫でた。
「ケイタ帰ろ?いつもみたいに宿屋に」
「サチぃ……」
サチはケイタの手と自分の手を繋ぐと引っ張って導くように歩きだした。
「二人も戻ろ?」
「あ、ああ」
「そう……だな」
そうして俺たちは黒猫団の拠点の宿屋に戻るのだった。それから数日間みんなの心の整理のための休日を設けた。ケイタもサチも各々の部屋から出てくることはなかったが、飯時にはちゃんと出てくるので一応元気そうなのはわかった。ケイタももう自殺はしないと心に決めたようで、若干影があるものの元気を出そうとしていた。
そして数日後。
「二人とも黒猫団を抜けるのか?」
「ああ」
ケイタの質問にキリトが答える。
「今回の騒動はやっぱり俺たちが居たことだと思うんだ。俺がレベルを隠して居たこと。アヤトが仲間に加わったこと。それが俺たち全員の慢心を生んでしまった原因だと結論付けた。責任を取ってじゃないけど俺たちは黒猫団を抜けようと思う」
「そうか……」
「で、でも……!」
「サチ」
ケイタはサチの言葉を遮ると、首を横に振る。
「わかった。二人の意思を尊重する。次は僕たちの今後について話をしようと思う」
ケイタは一泊置くと、口を開いた。
「僕はサチの武具店の手伝いをしようと思うんだ。だから下層に戻るよ。……二人に、お礼を言うのを忘れていたよ。……サチを…
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