機動戦士ガンダム
2171話
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ですよ」
ふふふ、と。どこか千鶴を思わせるような笑みを浮かべるジェーン。
その笑みを怖いと思ってしまうのは、俺が千鶴を知っているからか?
とはいえ、今のジェーンの笑みを怖いと思っているのは俺だけではないらしく、他に何人もジェーンからそっと視線を逸らしている。
それこそ、ジェーンを秘書として使っていたダグラスですらそんな感じなのを思えば、そんな風に思う俺の思いは決して出鱈目でも何でもない筈だ。
「あー……それで、だ。まず1つ聞きたいのは、スパイへの対応についてだな。今のところは農場に突っ込んでマブラヴ世界の食料を食べさせて適当にやってるけど」
『ああ……』
俺のその言葉に、皆が心底嫌そうな表情を浮かべていた。
まぁ、直接マブラヴ世界の合成食、それも改良されていない不味い方を食わされたのだから、それも当然だろう。
UC世界においても、食事というのは当然のように大きな意味を持つ。
コロニーの中では、マブラヴ世界程ではないにしろ、食料を食えない者というのはいる。
そういう者達にしても、マブラヴ世界の合成食は食べたくないと思うのだから、その威力は凄まじい。
皆が嫌そうな表情をしているのを見て、俺は無理矢理話を戻す。
「とにかくだ。適当にやってるけど、その連中はどうなんだ?」
「……どうって? 具体的にどういう意味?」
俺の言葉の意味が分からなかったのか、そう告げてくるセイラ。
「あー、例えばだ。農業をやっていてそれが楽しくなってきたから、スパイじゃなくて本格的に農業をやろうとするようになったとか、そういう感じで」
俺達は優しかった――正確には食料の為に農業をやる奴が出来るだけ多く欲しかったのだが――から、スパイだと判明しても殺したりといった真似はしなかった。
これが、もしジオン公国や連邦であれば、恐らく即座に殺される……といった真似はしなかっただろうが、代わりに自白剤とかを散々に使われて、結果として薬物中毒になっていた可能性は否定出来ない。
それを考えれば、ルナ・ジオンの対応は優しいといえる。
もっとも、中にはあの合成食を食うくらいならいっそ殺してくれと言ってくる奴がいる可能性も十分にあるのだが。
ともあれ、今の状況で俺達がやるべき事は、とにかくクレイドルに居住したいと思う者を出来るだけ増やす事だ。
もっとも、だからといって、スパイとか破壊工作員とか、そういう存在はいらないのだが。
「どうなの?」
俺の問いに、セイラの視線がルルーに向けられる。
それを受けたルルーは、少し考えてから口を開く。
「そうですね。全くいないという訳ではないでしょうが、それでも人数としては多くないかと。……勿論、合成食には嫌気をさしている者も多いようですが」
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