第二章
第18話 戦後の処理
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張を解く方法か。次に同じようなことがあれば余もやってみる」
あんたはやらなくていいからと思いつつ、俺は再び会議室に向かった。
今度は大丈夫そうだ。
……そういえば、クロと密着するのは初めてだった気がする。
ケモノ臭は全然気にならなかった。むしろ少しハーブの混じったいい匂いだった。
返り血もついてなかったし、城に戻ってきてから誰かが洗ってくれたのだろうか。
「――することを提案します」
会場は静かである。が、無音のまま空気がざわついている感じがする。
一人の中年出席者が、困惑したような顔で俺に質問してきた。
「それでは君は、捕虜については五体満足のまま生かしておけというのか」
「はい。俺はそのほうがいいと思っています。で、希望する者は亡命もしくは移民の扱いとして受け入れてはどうかなと」
「捕虜を生かしておくことにどんな利点があるんだ? 私には見えんのだが」
「今回、敵は圧倒的な人数で囲まれた状況でも降伏せず、玉砕覚悟の戦いをしかけてきました。さっきの話では、この国は捕虜を拷問または処刑する慣習があるようですが、それをしないことにより、今後の戦いで相手が降伏しやすい雰囲気を作ることができると思います」
「……なるほど。確かに、殺されるのがわかっていながら降伏する兵などおらぬな」
むしろ俺は、この国に捕虜を虐待したり殺したりする慣習があることにびっくりした。
どう考えても悪習だろうと思う。
「では、希望する者は亡命もしくは移民として受け入れる、というのはどういうことだ? こちらの国民になってもらうということか?」
今度は違う出席者から、野太い声で質問が来た。
がっしりとした体型にもみあげとつながっている髭。この人はランバートという名前だったと思う。六将の一人だったはずだ。
「はい、そうです。もちろん、軍事や国家機密に関する仕事をしてもらうわけにはいかないでしょうけど、国民として生産性のある生活をしてもらっていいと思います。最初は資産がないでしょうから施設などに住んでもらって、この国を気に入り次第、家族を呼び寄せてもらうとかで」
「フム」
「噂が広まれば、捕虜以外でもこの国へ移住したいという人が増えるかもしれません。長い目で見れば国にプラスとなると思います。『駒得は裏切らない』という格言もありますし、どんどん迎え入れるべきです」
「そんな格言は初めて聞くが」
あ。これは俺のいた日本での格言だった。
「失礼しました。俺はこの国の出身ではなくて……今のは俺が生まれた国の棋士が言った格言です。十対十のところに一をこちらに引き入れると十一対九となり、一の引き入れで二つ優勢になるので、駒得は重視すべしという意味です」
「
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