第6章:束の間の期間
第173話「天巫女の真髄」
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やけに異性に好かれていると思った事はなかったか?』」
「『……ある訳、ないだろう……』」
「(だよな……)」
つい神夜のみに対する念話で聞いてしまう帝。
まともな返答が返ってきた事に若干安堵しつつ、だからこその疑問を抱いた。
「(こいつの性格からして、今のに嘘はないだろう。第一、今まで散々認めまいとしてきたしな。……だとしたら、一体……?)」
いつ、どういった経緯で魅了の力を付与されたのか。
……その疑問に、帝は辿り着いた。……辿り着いてしまった。
「ッ………!」
それは、以前になのはと奏の天使の姿を見た帝だからこそ行き着いた“答え”。
自覚もない状態で魅了してしまう程の存在など、帝はある存在しか知らない。
すなわち、“神”であると。
「(こいつには、後で色々聞かねぇとな……)」
確かめておきたい事が出てきたと、帝は思う。
同時に、血の気が引くような、冷や汗を掻くような感覚に見舞われていた。
“もしかすれば、もしかする”と、漠然と恐怖していた。
「っ……」
アリシアや奏に感づかれないように、帝は深呼吸し、気を落ち着ける。
今は目の前の事。それを意識して思考を切り替える。
「(……あいつとの特訓がなけりゃ、こんな冷静ではいられなかったな)」
自身の成長を実感しながらも、帝は改めて神夜の様子を見る。
念話した時点で感じ取っていたが、既に神夜は正気でなくなりかけていた。
「………」
「(……こいつは……)」
だからこそ、帝はどうなるか予測出来た。
また、アリシアと奏も神夜の様子に気付く。
「何……?」
「何か、呟いている……?」
ぶつぶつと何かを呟く神夜。
何を言っているか聞こえない程だったが、徐々に聞き取れるようになっていく。
「……そうだ。あいつだ。あいつが、俺を追い詰めるように仕組んだんだ。そうじゃないと……そうじゃないとおかしい。あいつが……あいつが……!」
「(認めざるを得ない状況で、それでもなお“認めようとしない”となれば、その者が行うのはただ一つ……)」
血走った目で口走る神夜を見て、帝は何が起きているのか見当がつく。
それは、まともな精神状態じゃない者が陥る、一種の錯乱状態。
「あいつが……あいつのせいだぁあああ!!」
「(すなわち、“思い込みによる認識改竄”だ……!)」
息を荒くし、大声で神夜は叫ぶ。
その声に司達も視線を向けてくる。
「あいつだ!全部あいつが仕組んだんだ!俺を追い詰めるために!陥れるために!」
「っ、世迷言を……!」
「また優輝君の事を悪く……!」
神夜の言葉に奏と司が過剰に反応して、それ
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