戦闘評価
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のは、人事第一課の課長だ。
通常ならば、人事という組織の中でも重要な役割――その筆頭である課長が、来る人間を頭を下げながら出迎えている。
それも当然であろう、室内に入る人間は、全て彼――人事部人事第一課長よりも階級が上の人間である。
人事部という誰もが高いプライドを持っている人間たちは、今日ばかりはエレベーターを往復しながら、下働きを続けている。
案内する人間――それは最低でも艦隊司令官の階級――即ち、中将だ。
会議の時間――十分前に、中将の階級である人間が到着し、残りはまさに分刻みの予定。
会議室の脇に視線を向ければ、そこには大きく張り紙がある。
『第五次イゼルローン要塞攻防戦 戦闘評価会議』
+ + +
第五次イゼルローン要塞攻防戦。
俗にそう呼ばれる戦いから、一か月以上の時を経た。
そもそも戦いが始まったのが五月の上旬。
それが終わって、ハイネセンに全艦隊が帰還したのが、六月のこと。
帰還後には政治家や市民への戦いの報告があった。
艦隊総司令官であるシトレなどは、しばらくマスコミの取材に時間がとられていたほどだ。
それら表向きの結果の報告は終了している。
あくまでも表向きの話であるが。
即ち、イゼルローン要塞にどれだけの打撃を与えられたのか。
結果として、どのような成果があったのか。
それを政治家や市民に伝えることは重要なことではあったが、面倒というわけではない。
シトレに――あるいは一部の人間には不満の残る戦いとはなったが、政治的な意見から今回の戦いは、攻略こそできなかったものの、初めてイゼルローン要塞に打撃を与え、また同数の敵艦隊に被害を与えたということで、勝ったという意見が大勢を占めている。
いや、帰還した際には既にそう決定されていた。
ならば、求められる話をすればいいだけのことだ。
それらの説明が落ち着いてから、今回の戦闘評価会議が開かれることになる。
自由惑星同盟にとっては、実質的な功労と反省の会議である。
むろん、それらの報告はそれぞれの部署が個別に人事部にあげてきているわけではあるが、その意見を取りまとめて最終的に決定する場が、この場である。
そこに姿を見せるのは、数は少ないものの今回の戦いに関係した人間だ。
第四艦隊司令官ドワイド・グリーンヒル中将。
第五艦隊司令官アレクサンドル・ビュコック中将。
主任作戦参謀にして、参謀のトップにあったイーサン・アップルトン中将。
最初に室内に入った三名は各部署の筆頭であり、責任者でもある。
事前に知らされていた末席に座りながら、静かに座っている。
考えるところは、それぞれあるのだろう。
私語をすることもなく、案内をされた席に静か
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