「わたしの部屋……なにもありません」
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「そんな大したことじゃないわよ」
別に公園に何があるわけでもない。ならばリズに何かあったのかと、内心では逸っていたショウキを見透かしたようにリズは苦笑して。そんな簡単なやり取りでも、こちらの考えをお見通しとは――と感服しつつ、ショウキはリズの前の席に座ると。
「大したことじゃないのにわざわざ呼び出したのか?」
「ええ。これからちょっと、忙しくなりそうだから。その前に会っときたかったのよ……なんてね」
そうは言うもののリズの表情からは厳しさや辛さなどを感じることはなく、あくまで嬉しい悲鳴からか忙しくなる様子で。ショウキがそんな彼女の表情をうかがっているのがバレたのか、照れくさそうに笑うリズにいわく。
「この夏休み、お母さんの知り合いのお店に修行させてもらうことになったの。自分の店を持ちたいなら、どんなに辛いか見てきなさい、って」
「…………」
リズの将来の夢である、現実でも自分の店を持つというもの。両親からは反対されていたとショウキは聞いていたが、その申し出は激励なのか諦めさせたいのか。とはいえ両親の思惑がどうであれ、リズがどう選択するかは決まっている。
「……よかったな」
「ええ! もうバッチリとコツを盗むつもりよ! ……だからその、プレミアにちょっと言っておいてくれる?」
「あー……実はその……」
もちろんリズがログインできる頻度は少なくなるだろうと、あちらの世界の店でのアルバイト兼同居人に教えておいてくれないか、という彼女の願いに……ショウキは即答しかねた。理由は明白であり、怪訝な表情で首をかしげるリズの追求の前に、自分から口を開いていた。
「俺も、なんだ。やりたいことが見つかったから、少ししたら、向こうにはいけなくなるかもしれない」
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