「わたしの部屋……なにもありません」
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?」
「はい。実は」
これがキリト辺りならば値段交渉に繋がる流れだったが、アルゴといえども満足げにケーキを頬張って、頬にクリームをつけたままのいたいげな少女と交渉する気はなく。プレミアの頬を拭いてやりながら内容を聞いてみれば。
「わたしが空を飛ぶ方法を知りませんか?」
「ン……ああ、ナルホド」
今度こそ本当に成程、とアルゴは言えた。この世界は空を飛べることが前提となっていることが多々あり、その中で空が飛べないプレミアは確かに不便だというのは、以前から分かっていた。
「先日、ピナが飛ばしてくれて気持ちよかったので、アルゴなら何かご存じないかと」
「わたしは何も分かりませんでした……」
とはいえ、本来は飛ぶことが出来ない、ということが屋外ではありえないゲームに、ユイも打開策を見つけることは出来なかった。……とはいえ、そんな不便な状況を特に改善しようとしていなかったのは、ショウキに抱えられて飛ぶプレミアがとても満足げだと、ショウキ当人以外は知っていたからだったが。
「……心当たりがない訳じゃないガ……」
「それで充分です」
「……女神、ダ」
流石は《鼠》の面目躍如といったところか、不承不承ながらアルゴは手がかりを語りだした。本来ならば情報として売り出すことすらはばかられる、もはや希望的推測としか言えないものだったが。
「女神、ですか?」
「ああ。女神系のNP……女神って呼ばれる連中は、翼も日光がなくても浮いてるからナ」
「なるほど!」
特定のクエストにしか出現しない女神と呼ばれる専用のNPC……どうしてかプレミアの前でNPCと呼ぶのははばかられて、アルゴは少し口を濁したものの。この《アルヴヘイム・オンライン》の住人である彼女らは、どんなフィールドだろうと浮遊することが出来るのは事実だ。
「……まあ、女神に会えるわけもな――」
ただし女神系のNPCが現れるクエスト、例えば《天使の指輪》などは決まって高難易度であり、流石のアルゴと言えどもプレミアを連れての攻略は難しく。他に方法はないものかと、ケーキと一緒に頼んでいた紅茶を優雅に嗜みながら、背もたれに身体を預けていると。
「では、知り合いの女神に頼みにいってみましょう!」
「……ハ?」
――名案を思いついたかのように笑うユイに、アルゴは椅子から転がり落ちかけた。
「ショウキ、こっちこっち!」
一方、現実にて。ショウキはリズに呼び出され、待ち合わせ場所である公園に赴いていた。もはや驚くこともないが、ショウキとて随分と早く到着しているにもかかわらず、リズは先に場所取りまで済ませていた。
「悪いわね、わざわざ呼び出しちゃって」
「いや……どうした?」
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