「わたしの部屋……なにもありません」
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の紙には、女性プレイヤー向けの小道具を販売する雑貨店のことが載っているのです。
「わあ……ここ、最近すごく話題の雑貨屋さんなんだって、ママも言ってました! プレミア、ここに行ってみませんか?」
「そこで部屋を飾れるのですか?」
「はい。かわいい飾り物がたくさん売ってますから、プレミアが気にいるものもきっとありますよ。ありがとうございます、エギルさん!」
「ほ、ほら、ユイ。プレミアも。おこづかいあげるから、これで買ってきな」
「キリトも、ありがとうございます」
おこづかいでパパ的な威厳を落とさないようにしようとするキリトでしたが、残念ながら雑貨屋を提示した張本人であるエギルには及ばなかったようです。エギルはうなだれるキリトの肩に手を置き、慰めるふりをした勝利宣言をしていましたが、もはやそんな光景は少女たち二人にとっては関係のない話です。
「ではプレミア! 早速行きましょう! あ、パパはすぐ寝なきゃダメですよ?」
「はい。善は急げ、です」
そうしてプレミアとユイは男二人に見送られ、その店に向かっていきました。リズベット武具店からエギルに提案された雑貨屋さんはそう遠くなく、転移門を通ればすぐそこにある場所でした。それはリズベット武具店も雑貨屋も、転移門から近い好立地を店主が勝ち取っているからなのですが、まだプレミアにそんなことは分かりません。
「む」
「プレミア、どうかしました?」
「いえ、以前あちらに、リズとケーキを食べに行ったことがあるカフェさんがあるのですが、その時はこちらの『ざっかやさん』は目にはいりませんでした」
前はなかったはずのものがあるとは、不思議なこともあるものです、とプレミアは首をかしげます。その彼女が以前に来た時には、食べる前からケーキに夢中だったというだけですが。
「それはプレミアがケーキに夢中だったのでは?」
「……なるほど。何かに夢中になるとそれ以外が消えてしまうとは、勉強になります」
それはユイにも見抜かれていたようでしたが、プレミアはまた一つ、この世の不思議をしみじみと学びます。そんなことを話しながら二人は店に入ると、そこは少し雑多な印象を与えては来たものの、確かに噂になるに相応しい品揃えを誇っていました。
「わぁぁぁ……! プレミア、見てください! これなんかかわいいですよ!」
「はい。ユイがかわいいと思うなら、『かわいい』のだと思います」
「む……」
そんな少女にとっては夢のような光景を前にして、ユイのテンションが少し上がりますが、姉的な立場の前にどうにか思いとどまります。今回はプレミアのために来たのですから、落ち着かなくてはいけません、とユイは自分に言い聞かせます。
「それじゃダメですよ、プレ
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