「わたしの部屋……なにもありません」
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」
「変……っていうか」
「まあ座れよ。朝飯、用意してあるぜ」
「いつもありがとうございます、エギル」
キリトです。眠そうな目で気だるげに挨拶をしていましたが、プレミアのフル装備を見たら目が覚めたようで、飛び起きながら驚いてくれました。対称的に何でもないように落ち着いているエギルからの誘いを受けて、黄金に輝くチャーハンが用意された机にプレミアは座ります。
「いただきます」
大体プレミアの朝ごはんをこうして用意してくれるのは、開店の準備と時間がバッチリ合うエギルでした。何でも美味そうに食ってくれるから用意しがいがある、というエギルの言葉の通りに、プレミアはガツガツとチャーハンを頬張っていきます。
「それで……なんで町中で武器なんてつけてるんだ?」
「ふぁい。ふぁひゅはひはひひゃひゃひょ」
「た、食べ終わってからでいいぞ」
「……失礼しました。まずは形から入るべきと聞きましたので」
「何かあったのか?」
「はい。非常に大変な事態ですので、力を貸していただけると」
いいタイミングで飲み物のおかわりを入れてくれるエギルに、どこか苦笑いしつつも心配そうにしてくれるキリトに、プレミアは事情を打ち明けることにしました。ただし自分が空っぽではないことの証明、ということはどうしてか恥ずかしくあり、ただ部屋に何もないことの相談となりましたが。
……プレミアは気づいていません。恥ずかしいから、という理由で隠し事をするAIというものが、どれだけ異常なものなのかを。
「部屋か……俺は寝に帰るだけだからな……」
「なるほどな……自分の好きなもんを飾ってみるってのはどうだ?」
「わたしの好きなもの、ですか」
幸いなことに、そんな異常性は目の前の二人には伝わることはなく――当然です、 隠しているのですから――キリトはともかく、エギルはしっかりとした案を出してくれました。それを元にプレミアは考えてみましたが。
「以前、キリトとクラインに食べさせてもらった《辛口らぁめん》が好きになりましたが、アレは飾れそうにありません」
「……おい、キリトよ。よりにもよってアレを食べさせに行ったのか?」
「き、気に入ったみたいだからセーフだろ? ……プレミア、食べ物はなしだ」
「……食べ物はなし……ですか……」
残念ながらプレミアが思い浮かんだものは、『痛さは強さ!』なるキャッチコピーを掲げた《らぁめん》なる食べ物でしたが、キリトから食べ物はなしだと言われて電撃を浴びせられたような感触に襲われます。好きなものと聞かれてプレミアの脳内に浮かんでいたものが、全てなしだと言われてしまったのですから。
「わかりません……」
「……悪いが、俺も力になれそうにな
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