第二章
第17話 ドメリア砦の戦い(2)
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
どうしよう、と考える猶予もない。
俺は咄嗟に、すぐ足元に転がっていた剣――最初に倒した兵士のものだ――を取ると、真ん中の敵兵に向けて投げつけた。
ダメージをどの程度与えたかはわからないが、その兵士の足が止まった。
その瞬間に右の敵兵に向かって踏み込み、打ち込んだ。
敵兵は剣で受けた。
俺はそのまま思いっきり力を入れた。
相手の体が反った。
そのまま倒し、サッカーボールのように思いっきり蹴り飛ばした。
左を確認する。
左の敵兵はヤマモトが食い止めてくれているようだ。形勢は不明。
中央の敵は……やはり少し遅らせることができただけだ。
肩から血を吹き出しながら、国王のほうへと向かっている。
――行かせてはだめだ。
俺はその兵士に対し、横から攻撃に向かった。
敵兵はそれをすぐに察知した。
こちらに対し、横に払うように剣を振ってきた。
俺はそれを受けたが。間髪入れずにもう一度振りかぶって、今度は斜めに斬ってくる。
何とか受けるが、一撃が重い。
そのままじりじり体重をかけられた。
重くて返し技が出せない。
倒されたら、おそらくそのまま殺される。
まずい――と思ったとき、敵兵の首から鮮血が噴き出た。
首に噛み付いたのはクロだ。
――でかした。
振りほどこうと体をよじった敵兵の隙をついて、剣を突き刺す。
胸に深く刺さった。間違いなく致命傷だ。
敵兵の胸を足で押さえて剣を抜いた後、すぐにヤマモトの状況を確認するために目を向けた。
生きている。幕の中にいた生き残りの兵士とうまく連携して、何とか切り抜けているようだ。
もちろん、国王も無事だ。
よし。
「リク、危ない!」
そう国王が叫ぶと同時に、俺は反射的に後ろを振り返った。
――!
さっき蹴って転がした敵兵が――。
間一髪で受けることができた。
渾身の一撃だったのか、もの凄い音がした。
その音を合図にするかのように、周りにいた味方全員が飛びかかり、その敵兵を絶命させた。
***
……。
すでに、十人くらいは殺している気がするが。
記憶があいまいだ。
どれくらい時間が経ったのだろう。
だいぶ経ったような気もするし、長く感じただけで、実際はほんの少しなのかもしれない。
幕の中にいる生き残りの兵士は、全員血まみれだ。
ヤマモトは生きてはいるが、疲労が極限に達しているのか、剣を杖のように使って体重を支えている。
国王も憔悴の色が濃い。
クロもだいぶ呼吸が荒くなっている。
俺の息はとうの昔に切れていた。
苦しい。
膝も完全に笑っている。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ