第二章
第17話 ドメリア砦の戦い(2)
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てきた。
足が地面から浮いているかのような錯覚を覚える。
怖い。
視界が白んでいくのを感じた。
足にゴツンという感触。
それで我に返った。
「リク、大丈夫か」
「クロか……。ああ、大丈夫だ。ありがとう」
おかげで少し、落ち着いた。
俺は国王の少し前に出た。
クロがそれに続き、俺の横に来る。
ここにいる国王を助けること。自分も助かること。
どちらも達成しなければならない。
ついに、本陣の幕が倒された。
まず一名、こちらに向かってくる。
ドラマや漫画のように、立ち止まって名乗ることもなければ、無駄口をたたくこともない。
そして隙をうかがったり、じりじりと間合いを詰めることもない。
ただただ、止まることなく鬼の形相で迫ってくる。
敵兵が奇声を上げて剣を振りかぶる。大振りだ。
俺は構えた剣を、踏み込みとともにそのまま突き出した。
首に。
刺さった。
敵兵の振りかぶった剣が、慣性の法則にしたがって前に倒れてくる。
俺の肩当てに力なく当たり、乾いた金属音を立てた。
……人を殺した。
いや、今は考えている暇はない。
剣を抜き、敵兵だった肉人形を横に払った。
その後ろから、剣を槍のように突き出さんとしている敵兵が見えた。
そこまでは見えていなかった。
身をかわすのは、間に合わ――。
ドン!
鈍い音とともに、敵兵が少し左によろけた。
突き出してきた剣は、俺の左わき腹をかすめるように素通りした。
敵兵の右地面に着地したのは、鎧姿の白い犬。
クロが敵兵に体当たりしてくれたようだ。
空振りしてつんのめった敵兵の肘に向かって、俺は剣を振り下ろした。
腕は斬り落とせなかった。骨で止まってしまったであろう感触があった。
敵兵はすぐに向き直り、苦痛に顔を歪めながら、剣を振りかぶった。
……が、そこで表情が消えた。
その背後には、束までと言わんばかりに深々と剣を突き刺している国王がいた。
「リク、まだまだ来るぞ!」
俺はすぐ態勢を立て直し、再び国王をカバーできるポジションを取った。
右隣りにはクロだ。
左隣に参謀のヤマモトが来た。
軍師風の衣装は脱ぎ捨てている。手に持っている剣は血みどろだ。
そして肩で大きく息をしている。
前から一人、味方の兵士が後ろに吹き飛ばされて、転がってきた。
血まみれだ。首が斬られており、皮だけでつながっていた。絶命している。
敵兵が新たに三人向かってきた。
入口近くにいた生き残りの味方兵士を一人吹き飛ばし、その勢いのまま、こちらへ――。
三人同時は受け切れる気がしない。
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