第三十夜「逃げ水の行方」
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彼女は狐につままれた様な気持ちだったが、気になって風呂敷包みを開いた。すると、そこには漆器の箱に入った水羊羹と手紙が入っていた。
手紙を開くと、そこには水羊羹の作り方が細やかに書かれており、終わりには、彼女が寺に来ては水羊羹をねだっていたことが綴られていた。
これは果たして現実なのか、それとも夢なのか…彼女は理解出来ないでいたが、きっとそのどちらともつかない曖昧な世界に行っていたのかも知れない。
漆器の箱を開けると、そこには水羊羹が入っていた。
彼女は今迄の出来事を振り返りながら、その水羊羹を一口頬張った。
「うん…美味しい…。」
もう無い筈の景色…もう会える筈のない人…。
「私は…まだまだ頑張らなきゃなぁ…。」
また疲れた時、きっと…あの逃げ水が現れてくれるに違いない。
追い掛けた先は…懐かしい風景と癒し。
そう思い、彼女は水羊羹をもう一口…頬張った。
end
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