12製鉄実験
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症状が出ないスーパースプレッダが発生して、患者が邪馬台国まで到達すると西日本全てが壊滅する。
「恐ろしい、我らの支配地域には好き放題痘瘡を撒いても奴らは感染せぬのじゃ、もしこれ以上進めば、故郷の邪馬台まで滅ぼされる、もう一歩たりとも進んではならぬ」
しかし、侍従の巫女は有り得ない答えを返した。
「軍議では、諏訪まで進んで出雲の残党を討つと決められました。敵の思う壺でございます」
「なんだとっ? 我の予言を信じぬとはっ、何のためのアマテラスじゃっ!」
亀の甲羅を焼いて、その割れ方だとか、予言者でシャーマンが言った寝言など、誰も信じなくなってきた時代。
元は法治国家から来た渡来人の末裔なので、シャーマニズムなど冗談でしかないが、預言的中率を信じて、軍隊までがその指示を受けて行動している。
台風や洪水を言い当てるのは別の巫女や、故郷に残っている月読がする。
それでも農業に直接関係しない、軍事侵攻中で連戦連勝しているイケイケの派遣軍に、シャーマンの予言など不要だった。
「奴らは鉄の武具も持てるようになる。さらに恐ろしい物も見た、無数の石を火で飛ばす筒じゃ、盾も鎧も通す強い弓矢、その上痘瘡を撒かれれば邪馬台まで滅ぶぞっ」
「建御雷と弟君をお呼びしております、お話になって下さい」
「うむ、建御雷っ、須佐之男っ、これに参れっ」
アマテラスの権限で、自らの騎士で護衛を選び、派遣軍の指揮権限を持つ者と、弟を護衛で近衛兵の職に就かせているアマテラスで今代の卑弥呼。
軍議を超える命令をアマテラスが出せなければ、ヨツハによって撒かれた天然痘ウィルスとコレラと赤痢で、邪馬台国派遣軍を加賀の国、石川県、富山県ごと壊滅させられる。
勢いがあれば出雲まで攻め戻し、周囲の豪族にも恭順を命じ、可能なら九州征伐を行って、邪馬台国の渡来人をも屈服させ、できなければ「海に返す」。
冬守、製鉄実験場
まず、焼レンガを手積みして、そこに砂鉄を入れて熱を上げ、木炭程度の燃料で鉄のインゴットを取り出すのは可能である。
レンガ式の600度〜800度程度の、たたら製鉄炉でも、ほんの数キロの鉄を焼結できれば、また過熱して、ハンマーで叩いて鍛造し、刃物や工具に加工することもできる。
「これに風を送り込まねばならない、猪の親を狩った皮と、鹿の皮、これらで鞴を作らねばならぬ」
「仰せのままに」
燃料が薪から炭焼きに進化し始め、窯の外形も日干し煉瓦から焼レンガに進化し始めた。
建設中の登り窯も、傾斜地の溝で煙突部分が、熱風が通過する内側だけでも石と煉瓦になり、熱で乾燥崩落しない構造に改良されて行った。
朝から昼に至る時間だけで数々の物品が伝来して、千年以上の文明進化が起こり、時計の針が無理矢理進められて行く。
近隣の村からも
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