第75話『終戦』
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のも不思議」
「不思議ばっかだな、異世界って」
山の頂上には及ばないが、空には綺麗な星空が浮かんでいる。近くの時計台を見ると、時刻は21時を示していた。なんと、出発からはまだ1時間しか経っていない。
そんな不思議な状況に見舞われ、緋翼と終夜が口々に感想を言い合う中、晴登はある人物の元へと向かう。
「…三浦」
「体調はどう、暁君?」
「魔力切れでぶっ倒れて、気がつきゃここに戻ってたけど、別に悪くはない」
「やっぱり、あの爆発は暁君だったんだね」
「…あぁするしかなかったんだ。勝つためには」
力なく返事を返す伸太郎。いくら怪我は無かったことになるとはいえ、体力を使い果たした倦怠感からは逃れられないようだ。それに、彼は終夜に使うなと言われた爆破を使っている。その責任を感じてもいるのだろう。
「暁君は悪くないよ。結果論に聞こえるだろうけど」
「…いや、それでもそう言ってくれるとありがてぇ。悪いな、三浦」
「別に謝らなくたって」
まだ表情に曇りが残っているように見えるが、先程よりはマシだ。晴登はこれ以上の励ましは必要ないと察し、今度は結月の元へと向かう。
「怪我は無い・・・よな、結月?」
「あ、ハルト。もちろん、平気だよ!」
月夜に向かって伸びをしていた結月は、晴登の呼びかけに振り返ると、屈託のない笑みを浮かべた。
──あぁこれだ。良かった、取り戻せて。
晴登はその喜びを胸の中に仕舞い、再び結月に話しかける。
「ごめんな、危険な目に遭わせて」
「気にしないでよ。それに、ハルトが助けに来てくれるって信じてたから」ニッ
「っ…!」
純真無垢なその笑顔に、晴登は気恥しさを感じて顔を背けてしまう。ここまで堂々と言われると、心のどこかがむず痒くなるのだ。でも、上手く言葉では表せそうにない。
「おいおい、帰って早々イチャイチャか? お熱いねー全く」
「ホント。いい加減くっついちゃえば?」
「ちょ、何言ってるんですか!」
終夜と緋翼にからかわれ、晴登は顔を紅くしながら反論する。しかしそれは彼らの思うツボらしく、笑って一蹴された。
今まで考えないようにしていたが、やはり同棲している以上、結月とは友達以上の関係であることに相違ないのだ。しかし、結月の好意は理解しているつもりだが、それにどう応えればいいのかはわからない。だからこうして、よくわからないままの関係を引きずっている。
「あ、そういえば」
ふと、その一言で晴登の思考は途切れる。声を発したのは二年生の北上だ。彼は何かを思い出したかのように、手をポンと打っている。
「くっつくと言えば、俺ら的には部長と副部長も
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