暁 〜小説投稿サイト〜
非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第75話『終戦』
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
のも不思議」

「不思議ばっかだな、異世界って」


山の頂上には及ばないが、空には綺麗な星空が浮かんでいる。近くの時計台を見ると、時刻は21時を示していた。なんと、出発からはまだ1時間しか経っていない。
そんな不思議な状況に見舞われ、緋翼と終夜が口々に感想を言い合う中、晴登はある人物の元へと向かう。


「…三浦」

「体調はどう、暁君?」

「魔力切れでぶっ倒れて、気がつきゃここに戻ってたけど、別に悪くはない」

「やっぱり、あの爆発は暁君だったんだね」

「…あぁするしかなかったんだ。勝つためには」


力なく返事を返す伸太郎。いくら怪我は無かったことになるとはいえ、体力を使い果たした倦怠感からは逃れられないようだ。それに、彼は終夜に使うなと言われた爆破を使っている。その責任を感じてもいるのだろう。


「暁君は悪くないよ。結果論に聞こえるだろうけど」

「…いや、それでもそう言ってくれるとありがてぇ。悪いな、三浦」

「別に謝らなくたって」


まだ表情に曇りが残っているように見えるが、先程よりはマシだ。晴登はこれ以上の励ましは必要ないと察し、今度は結月の元へと向かう。


「怪我は無い・・・よな、結月?」

「あ、ハルト。もちろん、平気だよ!」


月夜に向かって伸びをしていた結月は、晴登の呼びかけに振り返ると、屈託のない笑みを浮かべた。

──あぁこれだ。良かった、取り戻せて。

晴登はその喜びを胸の中に仕舞い、再び結月に話しかける。


「ごめんな、危険な目に遭わせて」

「気にしないでよ。それに、ハルトが助けに来てくれるって信じてたから」ニッ

「っ…!」


純真無垢なその笑顔に、晴登は気恥しさを感じて顔を背けてしまう。ここまで堂々と言われると、心のどこかがむず痒くなるのだ。でも、上手く言葉では表せそうにない。


「おいおい、帰って早々イチャイチャか? お熱いねー全く」

「ホント。いい加減くっついちゃえば?」

「ちょ、何言ってるんですか!」


終夜と緋翼にからかわれ、晴登は顔を紅くしながら反論する。しかしそれは彼らの思うツボらしく、笑って一蹴された。
今まで考えないようにしていたが、やはり同棲している以上、結月とは友達以上の関係であることに相違ないのだ。しかし、結月の好意は理解しているつもりだが、それにどう応えればいいのかはわからない。だからこうして、よくわからないままの関係を引きずっている。


「あ、そういえば」


ふと、その一言で晴登の思考は途切れる。声を発したのは二年生の北上だ。彼は何かを思い出したかのように、手をポンと打っている。


「くっつくと言えば、俺ら的には部長と副部長も
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ