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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
34話:春の終わり
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他の挨拶回りはともかく、補佐官とはまとまった時間を内々で取りたかったものですから。お手数をおかけしました。」

簡単に言えば、あちら側で投資先を探したかったという事だ。ルントシュテット領も辺境星域も投資先がないわけではないが、人口増と教育が追い付かなければ子供に大人の服を用意する様なものだ。バブルが起きていつかしわ寄せがくることになる。
帝国に戻ってからミュッケンベルガー家との兼ね合いでRC社は帝国後背地への事業展開をする事になると思うが、辺境と違ってあの一帯はそこまでカツカツなわけでもない。当然大きな動きにはならないだろうし、門閥貴族の利権は投資対象から外している。そうなると、適切な投資先がない資金が口座から動かないことになるので、あちら側への投資を考えたわけだ。もっとも使うことにならなければ良い策だと思うが、種銭は多い方が効果が高まるので、兄貴や叔父貴からも資金を融通してもらった。レオの事業でかなり貯まっていたらしく、それなりの額が用意できた。

「いらっしゃる前から、フェザーンに生まれていれば『今年のシンドバット賞』を受賞されただろうと話題になっておりましたが、本当に帝国にお戻りになられるのですか?こちらでビジネスをされた方がルントシュテット家の利益にもかなうと思いますが......。」

「ほかの誰でもなくワレンコフ補佐官にそう言ってもらえるのは光栄ですね。さては歓楽街からの圧力でもありましたかな?ただ、生きたいように生きられる生まれでもないので。ここだけの話、生まれが選べるならフェザーンを私は選んだでしょうしね。」

「それはフェザーン人として嬉しいお言葉です。投資会社の方はお任せください。金の色を塗り替えるのは私どもの本職でもございますので。」

「しっかり手数料を取ってくださいね。補佐官から無償の善意など受けては後が怖いので。私にとってはフェザーンで見つけた最良の投資先はあなただと思っていますから。それと、あちら側の商習慣は知りませんが、私はご配慮をお願いするなら、きちんとこちらも配慮するのがマナーだと思っています。ただ、誰に配慮していただいたのかはお知らせ頂きたいところですが......。」

「承知しております。顧客の名簿はそれ自体が財産ですからね。」

そんな話をしながらお茶を飲む。ワレンコフ補佐官とは昼に会うことが多かったのもあるが、お酒よりお茶を飲む関係だ。青田買いではないが将来の自治領主候補でもあるので、最良の投資先と言ったのも本心だ。向こうも補佐官に抜擢されたとはいえ、表できれいに使える資金はそれなりにあった方がいい。良い関係をそれなりの期間は続けられるだろう。

頃合いになると、ワレンコフ補佐官がでは先に出ますといって部屋を辞去した。この部屋はワレンコフ補佐官が一年中借りている部屋だ。補佐官とも
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