第二章
第16話 ドメリア砦の戦い(1)
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よ!」
国王が命じた。
いよいよ、戦いの火蓋が切られた。
***
地響きが本陣まで伝わってきている。
それは今まであまり実感が湧いていなかった俺にも、少し響いてきていた。
胃に少しキリキリという不快感が出てきている。
こちらの兵力は二万人くらいはいるとのことだ。
一方、砦に常駐している敵の兵力は、普段一千人ほどらしい。
数字だけ見ると兵力差が二十:一なのだが、さすがに首都を発った段階ではこちらの動きは察知されていたようだ。すでに相手の増援部隊が砦に到着済という報告が入っている。
ただそれでも、「多めに見積もっても、こちらの半数以下の兵力しかないのではないか?」というのが、コスプレ参謀の分析である。
「ランバート隊、攻撃を開始しました!」
「ファーナ隊、ただいま攻撃を開始しました!」
本陣に次々と伝令がやってきて慌ただしくなっている。
砦を囲んでいた全部隊――サイオンジ隊、ランバート隊、リリエンソール隊、ラスキン隊、ヤマウチ隊、ファーナ隊――が攻撃を開始したようだ。
相変わらず和洋ごっちゃ混ぜの名前が飛び交うのだが、違和感を覚えるほどの精神的余裕はなくなってきた。
ここからだと、砦の詳しい様子はわからない。
しかし、土煙のようなものがあがっているのは確認できた。
伝令の情報からも、今のところは順調に推移しているように思われる。
このまま無事に終わればよいのだが……。
どうも俺の中では不安が残ったままだ。
六将が順調に攻めているのは大いに結構なのだが、各将はそれぞれ三千人強程度の兵を率いているそうなので、本陣には二千人程度しかいないことになる。
今回の兵力差を考えれば、国王が討ち死にする等の大事故さえなければ、勝てる可能性は高い。
やはり、もう少し本陣は手厚くしたほうがよかったのではないか。
うーん……そもそも、だ。
この砦は北の国にとって、戦略上そこまで重要な拠点なのだろうか?
城下町があるわけでもなく、重要な都市にそこまで近いというわけでもない。
性質はあくまでも偵察基地。堅牢な城壁があるわけでもなく、深い堀があるわけでもない。土塁と柵に、空堀が掘られているだけの簡素な砦だ。
それを圧倒的少数で死守することに意味があるとは思えない。
俺が相手の参謀だったら、さっさと見切りをつけて撤退する。
もしくは、こちらに国王がいるという情報を得ているなら、うちの各部隊が砦を囲んで攻め始めたタイミングで、いきなり砦を捨てて打って出て、こちらの本陣を強襲。国王を討ち取ろうと考えるかもしれない。
将棋は王将を詰ませれば勝ちだ。
ふと国王を見ると、足を組んで手を顎に当てている。
何か考
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