第二章
第16話 ドメリア砦の戦い(1)
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かっており、そろそろ砦を取り囲むように位置についている頃のはず。
そして本陣は取り囲んでいる部隊のやや後方に位置しており、国王も俺もそこにいる。
国王は椅子に座っており、俺はすぐ横に立っている状態だ。
「リク、怖くはないか?」
「うーん。正直、今この本陣のまわりしか見えないので、あまりイメージができていなくて。怖いというよりも、どちらかというと不思議な感じというか……」
戦争に生まれて初めて参加している俺は、困惑することが当然多い。
特に思ったことは、シミュレーションゲームのように空からの視点で見ることができないという点である。
「当たり前だろ。何バカなことを言っているんだ」
と突っ込まれそうだが、軍が今どのような形で展開しているのか視覚的には全然わからないし、いま自分が全軍の中のどの場所にいるのかもわかりづらい。敵がいまどこで何をしているのかも当然見えない。
とにかく状況の把握が難しいのだ。伝令の報告から、頭の中で想像していくしかない。
そのせいだろうか? まだ「自分が戦場の中にいる」という実感が薄い。
普通にそこらで訓練でもしているような感覚すらあるくらいだ。まだ「怖い」という感情は湧きあがってきていない。
「そうか。しかしそれは頼もしいな。余は少し怖いぞ」
国王は座ったまま、俺を見上げた。
そう言われれば、表情はいつもよりほんの少し固い気がする。
彼も戦争の場に出てくるのは初めてである。
今回「親征」にこだわった理由については、国王本人の決意のあらわれを見せるため、および兵士の士気向上のためということになっている。
だが、本人いわく「軍事の勉強のため」ということでもあるらしい。
相変わらず意識が高い王様だ、と思う。
この歳で、お飾りではなく自身で国政をおこなっているということは、こうやって自分から物事にどんどん首を突っ込んでいき、自分の知識にしていったのだろう。
戦争参加が決まったときに、「ぜってー無理だわ」とか「何とか俺だけでも生きて帰らなければ」と考えてしまっていた俺とは、レベルが違う。
「陛下、そのようなことは口に出されませぬよう」
「ははは。お前の言うとおりだな。すまなかった。ヤマモト」
国王は苦笑いしながら、例の諸葛孔明のコスプレにしか見えない作戦参謀にそう答えた。
ヤマモトという名前らしい。
三人の作戦参謀のうち、戦場に来ているのはこの人だけだ。あとの二人は来ていない。
疑問に思って行軍中にヤマモト本人に聞いたのだが、二人とも城に残って留守番および情報収集とのことである。
あの肌が白い病人みたいな参謀、日焼けしなくて済んでよかったな……と余計なお世話ながら思ってしまった。
「よし、開戦の狼煙をあげ
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