第二章
第15話 決意
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正面を向いたまま話を続けた。
「謁見のときはもっともらしい理由を付けたが、まあ本当のところはな、余も戦に行くとなると不安なので、お前達に一緒にいてほしいということだ。お前をいきなり巻き込んだことについては、悪いと思っているのだぞ……」
「……」
国王の目線が、ベッドの横に立てかけられた剣に移った。
もう客人ではないから――ということで、守衛より返してもらっていたのだ。
「その剣はイチジョウの剣だな。見覚えがある」
国王は懐かしそうに目を細めた。
「お前、余のことが嫌いというわけではないのだろう?」
「ん? 俺は陛下のことは好きですよ? 頭はキレるようですし、なんだかんだで気遣いをしてくれているとも思っています。贅沢しようと思えばいくらでもできるのに体型は崩れていないし、きっと自分に厳しい人なんだろうなあとも思います。
しかも人望もあるみたいですよね? さっきも、女将軍っぽい人に陛下を頼むって言われましたし」
「ほう、ファーナが……」
国王が小さくつぶやいた。
さっき俺に凄まじい死亡フラグを立ててくれた女将軍は、ファーナという名前らしい。
「で、今。先代国王の遺志を継ごうとしているわけですよね。立派です。嫌う要素なんてどこにもないです」
国王は組んでいた右腕を外し、今度は俺の肩に回した。
背丈に差があるので、国王の手が俺の首の辺りに当たっている。
じわりと広がっていくような熱を感じる。
「そうか。ではリク、よろしく頼むぞ。いざというときはその剣で余のことを守ってほしい」
「はい。どこまで役立てるかわかりませんが頑張りますよ。陛下」
国王は俺の顔を見てニッコリと笑った。
***
城にある会議室。
中央に大きなテーブルが置いてある。
軍議をおこなっているのは、国王と三人の作戦参謀、そして六人の将軍たちだ。
六人の将軍のうちの一人は、昨日廊下で遭遇したファーナという女将軍である。
他の五人も謁見のときにいた顔だ。見覚えがある。
三人の作戦参謀は、全員初めて見る顔だが……。
一人だけ、妙に肌の色が白い人物がいる。病人かと思った。
こんなに白いと太陽の下で活動できないのでは? と思うくらいに透き通る白さだ。
作戦参謀とはいえ、室内に引きこもり過ぎなのではないだろうか。
それはさておき。
テーブルを取り囲み、作戦の確認をおこなっている。
俺とクロもなぜかここにいる。
国王から「お前は余のそばにいることになるので、聞いておいたほうがいい」と言われたためだ。
もちろん発言する気などはまったくない。空気である。
作戦の説明は、作戦参謀の一人がおこなった。
真っ先に目に留ま
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