盗めない宝石とか負けない愛とか人類はすぐに不変の何かを求めるけど、変化だってそう悪いものじゃない。と思う短編
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に意見を変えずに彼に諦めさせ、その後「本当に倒したのか」としつこく探ってくるダニエル警部に疑われる程に犯人――「アッティラ・ザ・フン」に酷似した少女がライブラの人間と行動を共にしているのを目撃されたとしても、アッティラ・ザ・フンは消滅したのである。
クラウスの意見を聞いて最大限譲歩しそういうことにしたスティーブンは、そういうことでダニエル警部の追及をのらりくらりと躱していた。
「彼女はアルテラだ。アッティラ・ザ・フンなどという堅苦しい名前ではないよ」
「発音が限りなく似てるだろッ!!」
「しかし、犯人の姿を捉えた映像は――『だいぶ解像度が荒いが』白髪の長髪だ。対して彼女の髪はショートヘア。サーヴァントが身体的特徴を変える事は特殊なスキルでもないと不可能なことは警部もあのいけ好かない探偵のサーヴァントにご高説を受けた筈だが?」
「あいつの言う事なんぞ真に受けられるか!だいたい髪じゃなくて長髪に見える装飾だったという目撃証言もある!というか、手に持ってるあの三色の剣が!!」
「剣?はて、僕はあれが剣には見えませんよ?だいたい犯人の武器は『鞭』とも『大砲』とも言われていて正体がはっきりしない。彼女の持つカラフルな棒とそれを結びつけるのは、流石に無理があるんじゃないかい?」
「………チッ!今回は令状取るのに情報が足りねぇから引くがな、二度三度同じ手を使えると思うんじゃねえぞ?」
実際の所――あれだけの破壊を巻き散らしながらも「死者そのものはゼロだった」という事実がなければ、引き下がりはしなかっただろう。クラウスはそのことに気付いていたからこそ、彼女は変われると確信した。
こうして、アッティラのそっくりさんことアルテラは今日もライブラにいる。
ただし、クラウスの強い要望で戦いには基本的に参加させない、という条件付きで。
「色んなサーヴァントと技術者に作ってもらったこの因果律絶縁手袋なら、以前のようにジョウロを軍神の剣に変える事はない筈だ。では……(ちょろちょろちょろ)」
「うむ、そのまま葉や茎にかけず適量だ。……しかし、最初にやるのは園芸でよかったのかね?ギルベルトに頼めば他にもっと女の子らしいことも教えてもらえると思うのだが……」
「そうかもしれない。しかし、こうして植物を育て見守っていると……何か、懐かしい感覚が湧いてくる。きっと私はかつて、こうして何か、いや誰かを育て見守ったことがあるのかもしれない」
そう語るアルテラの横顔はとても穏やかで、戦いなど知らない草原の少女のようだった。
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