第一幕その二
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「私思ったけれど」
「何を思ったの?」
「さっきビリーナと話したんだけれど」
ドロシーにこのことも言うのでした。
「彼女国を持ってるでしょ」
「お子さんやお孫さん達の国をね」
「その国のことを聞いてね」
そしてというのです。
「私も国を持とうと思ったのよ」
「貴女もなの」
「そう、どうかしら」
「そう思うことはいいけれど」
それでもとです、ドロシーは自分が座っている席のテーブルのところにちょこんと座って自分にお話するエリカに応えました。
「貴女が国を建ててなの」
「ええ、女王様になってね」
そうしてというのです。
「治めていこうと思うけれど」
「止めた方がいいんじゃないかしら」
ドロシーはエリカのお話をここまで聞いて思いました。
「それは」
「どうしてなの?」
「だって貴女気まぐれだから」
そうした性格だからというのです。
「しかも我儘だし」
「あら、だからというの」
「おまけに飽きっぽいし」
「そうした性格なの、私って」
「自覚ないの?猫はそうした傾向は強いけれど」
生きものとしてそうだというのです。
「貴女は特にね」
「そうした性格なの」
「猫の中でも特にその傾向が強いわ」
「というとオズの国の他の猫やガラスの猫よりも」
「ずっとね」
エリカのそうした性格の傾向はというのです。
「強いから」
「だからっていうのね」
「ええ。国を建てることも政治をしていくことも」
そうしたことはというのです。
「どうしてもね」
「難しいっていうの」
「そう思うけれど」
どうにもというのです。
「貴女はね」
「そんなものかしら」
「ええ。それでもなの?」
「私は思うのよ」
「自分の国を建てないのね」
「猫の国をね」
「そうなのね」
ドロシーはエリカに難しい顔で応えました。
「貴女が女王となって」
「そうよ。いいでしょ」
「だからさっきも言ったけれど」
「私はそういうことに向いていないっていうの」
「そう思うわ。貴女はこの王宮にいて」
そのうえでというのです。
「これまで通り楽しく暮らしていくべきじゃないかしら」
「そうかしらね」
「ええ。そういえば猫の国はないけれどね」
オズの国にはです。
「それでもね」
「だったら余計によ」
「そうした国を建てたいの」
「ええ、オズの国にないのならね」
そう思うと余計にというのです。
「思ったわ」
「好奇心を持ったのね」
「その通りよ」
「猫は好奇心も強いから」
「私もそうでしょ」
「それもかなり強いわ」
猫のそうした一面も強いのがエリカです、とにかく猫の個性がとても強く出ているのがこの娘なのです。
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