29話:次の事業
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ク提督オフィス前
コルネリアス・フォン・ルントシュテット
長兄には一歩遅れたが、次の定期昇進で少佐の内示をもらい、年末年始の帰省に向けて面目は立ったなどと浮かれていた俺は、過去に戻ってそんな自分を呪ってやりたかった。アムリッツァ星域にいる末弟から呪いの手紙が届いたのだ。
私が所属しているシュタイエルマルク艦隊の司令部は、提督の人柄もあって他の艦隊司令部とは雰囲気が違う。貴族出身の提督にありがちな平民差別は厳禁だし、新人だろうが任せられると認められれば階級が低くても大きな役割を任されたりもする。かくゆう私も中尉でこの司令部の下っ端として配属されて以来、様々な仕事を任されてきた。まあ要領もいい方だし、門閥貴族にあまり良い感情を持っていない私にとっては水が合う司令部だったと言えるだろう。
この司令部に配属されてもうすぐ4年、独特な雰囲気に馴染めず異動する士官が多い中で、いつの間にやら古株になりつつあった。シュタイエルマルク上級大将は今年55歳、そろそろ宇宙艦隊司令部から、統帥本部なり軍務省なりに異動の話も出ているらしいが、あそこの将官の仕事は、部署間の調整役だ。提督は、良くも悪くもはっきりした文言を好む方だ。調整役の適性はあまりないと思うが。
ここで、末弟からの呪いの手紙の話に戻ろう。手紙の内容は自分が考えた次世代戦闘艦の運用思想について、シュタイエルマルク提督の戦術理論の観点から考察を依頼する物だった。昔から突拍子のない事をする奴だったが、特大の厄介ごとを持ち込んできた。確かに構想自体は面白いと私も思ったが、提督は公私を線引きされる方だ。私的なルートでの話に正直、良い顔はされないだろうが、兄としての手前、何もしないわけにはいかない。そういう訳で、これから提督のオフィスに入室するわけだ。
「ルントシュテット大尉であります。提督失礼いたします。」
「うむ。ルントシュテット大尉、ご苦労。急に時間を取ってほしいとのことだったが、何かあったのかな?艦隊の補給の方は、順調との報告を受けたばかりだが・・。」
提督が確認の意をこめた視線を送ってくる。
「は!艦隊の方は問題がございません。私的なお話で恐縮なのですが、次世代艦の運用構想に関して、提督の識見を参考にしたいとの相談を受けました。よろしければ資料をご確認頂きたいのですが、お許しいただけますか?」
「うん?まあ便宜を計れというようなものでなければ私的な話も聞くだけは聞くが?それに大尉が持ってきたのだ。少なくとも私に見せる価値はあると判断したのだろうから、確認させてもらおう。」
「ありがとうございます。資料はこちらに。個人的にはこれが実現できればかなり前線でも優位になるとは思うのですが・・。」
そう言いながら、弟から来た資料をお渡しする。私の私見も別紙にまと
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