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ランス END 〜繰り返しの第二次魔人戦争〜
第一部 GI歴末からLP歴の終わりまで
第一章(CP4二周目、結末Bエンド)
第03話 ヘルマンの故郷を離れて
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震えている。


 ラング・バウで会ったミネバは、異父弟に対する親愛の情など欠片も示さなかった。
 ゼナ叔母さんの病を伝えると、彼女は実母を「ばばあ」と呼び捨てにし――

 「ようやく、くたばるのかい?」 と嘲笑した。

 それどころかマハに対して顔も見たこともない親戚が、薬や金をタカリに来たかのように扱った。

 怒りを露わにしたマハが殴りかかると、それを軽く撥ね除けて、鍛え上げられた拳を振り上げた。
 地面に打ち付けられた、マハは護身用の槌を手に取り挑んだ。
 村からの旅は護衛付きの隊商に付き従ってのものだったが、途中で野盗やモンスターとも戦った。

 「へぇ……なかなか悪くないねぇ」

 ミネバがマハを獲物を見つけた爬虫類のような視線で見つめる。
 そのときの恐怖を思い出して僕も身を震わせる。


 「……たぶんマハには僕の剣と同じで、槌を扱う才能がある。
  他にも何か軍人として生きていく上で役に立つ技能スキルが備わっているかもしれない」

 あのとき僕もマハを守るため剣を抜いてミネバと戦った。
 二人がかりでさえ歯牙にもかけられなかったが――ボロボロに叩き伏せられた僕らに彼女は言った。

 「あんたら、ばばあが死んだら村なんか出て軍に入んな。
  素直に従うんなら二人とも|三軍【ウチ】で飼ってやってもいいよ」


 「もし軍に入って、あの人に血縁や地縁で利用されたらボドゥさんにも迷惑をかける」

 「……そうだな」

 「かといって何の後ろ盾もなくヘルマンの軍に入るのは危険だ」

 僕の父に自爆特攻という無謀な命を下したのは貴族のボンボンだ。
 ヘルマンの売官制では、軍部の地位は最高でも中隊長までしか買うことができない。
 それ以上の地位となると軍務に努め、軍内で昇進を重ねる必要がある。
 寄付やらコネによって出世の速度が早くなることはあるが、不相応に高い地位を簡単に与えることは無い。
 そのようなことを許せば番裏の砦の魔物や他国の軍に対する国防が疎かになるからだ。

 けれどパラパラ砦を攻めたヘルマン第一軍の将は、金銭で将軍の地位を買ったアホ貴族だった。
 后妃パメラの寵愛を得たステッセルが、宰相の地位について十年。ヘルマンでは上層部の腐敗が進んでいる。
 国政を管轄する評議委員のなかで、国防を担当しているケチャックはステッセルの甥だ。

 彼は叔父に取り立ててもらうまで風采の上がらない一兵卒だったそうだ。
 これまで何一つ軍功もなく、コネだけで将軍位を授かり評議委員となった。
 今や貴族たちは彼に相応の金銭さえ払えば、軍のどのような地位にもつけるという。

 今回のリーザスとの戦も第一軍の大将であるレリューコフ将軍は反対した。
 しかしステッセ
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