暁 〜小説投稿サイト〜
繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ
06.そうだ、刑務所に逝こう。
第23話
[1/3]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 嗚呼、また死んだ。

 また、殺された。



「………ぁ」



 だけど、躰の感覚がある。
 風が当たっている感覚がある。
 花の香りがする。

 私は未だ死ねない。


 躰を起こすと、其処は見慣れた部屋。私が良く訪れていた、前の医務室だ。
 如何やら、涙を庇って撃たれた後、此処に連れ戻され、治療を受けていたっぽいな。

「琴葉さん………」
 レンの声。あの時で聞くのは最後の筈だった、男にしては少し高めの、何処か可愛らしい声。
 前は此の声が好きだった。其の純粋な心も、透き通った瞳も、ほんの数週間前までは大好きだった。

 なのに―――




「如何為て……如何為て!! 如何為て毎回上手く行かないんだよ!! 如何為てこんなにお前等が好きで、好きで堪らないのに……毎回、毎回毎回毎回!! 何度も何度も何度も殺さなきゃいけない!! 如何為て私を死なせてくれない、願いを叶えてくれない!! 如何為て私を分かってくれないんだよ!!!」




 頭を抱え、只叫ぶ。



「皆………皆分かっているフリを為ているだけなんだ!! 誰も、私が何者で、何がしたくて、何をして欲しくて、如何為て欲しいのか、誰も分からない!! 何で、お前等は誰かに理解して貰えるんだ………如何為て私は誰にも理解して貰えない、本当に気付いて貰えない!!」



 全て、全て言ってしまいたい。



「何で私だけ理解して貰えないの!? 私が何かしたって言うの!? ねぇ、教えてよ!!」



 嗚呼、死にたい。



「死んで、全てを終わりにしたい」































「其れが、君の願いだね?」































 凜とした、良く響く声。

「フラン……さん?」


 何時の間にか涙が溢れていて、フランさんの顔が歪んで見える。

「嗚呼、そうだ。君に酷い事をして、突き放された男だよ」
「で、琴葉。お前は其れを望んでいるのか? ……俺が叶えてやるから、さっさと肯定しろ」

「………葉月?」


 嗚呼、もう最悪だ。如何為て此奴が。


「ぁははは……そうだよ。私は、誰かに理解して貰うって言う願いを叶えて、そして死ぬ運命だからね」


 もういっその事、此の世界に居られる全ての時間、此の人達との思い出を、全て消す事に遣うんじゃ無くて―――



 全て此の人達に預けてみようかな。



  ◇ ◆ ◇



「で、首領を殺し
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ