06.そうだ、刑務所に逝こう。
第23話
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嗚呼、また死んだ。
また、殺された。
「………ぁ」
だけど、躰の感覚がある。
風が当たっている感覚がある。
花の香りがする。
私は未だ死ねない。
躰を起こすと、其処は見慣れた部屋。私が良く訪れていた、前の医務室だ。
如何やら、涙を庇って撃たれた後、此処に連れ戻され、治療を受けていたっぽいな。
「琴葉さん………」
レンの声。あの時で聞くのは最後の筈だった、男にしては少し高めの、何処か可愛らしい声。
前は此の声が好きだった。其の純粋な心も、透き通った瞳も、ほんの数週間前までは大好きだった。
なのに―――
「如何為て……如何為て!! 如何為て毎回上手く行かないんだよ!! 如何為てこんなにお前等が好きで、好きで堪らないのに……毎回、毎回毎回毎回!! 何度も何度も何度も殺さなきゃいけない!! 如何為て私を死なせてくれない、願いを叶えてくれない!! 如何為て私を分かってくれないんだよ!!!」
頭を抱え、只叫ぶ。
「皆………皆分かっているフリを為ているだけなんだ!! 誰も、私が何者で、何がしたくて、何をして欲しくて、如何為て欲しいのか、誰も分からない!! 何で、お前等は誰かに理解して貰えるんだ………如何為て私は誰にも理解して貰えない、本当に気付いて貰えない!!」
全て、全て言ってしまいたい。
「何で私だけ理解して貰えないの!? 私が何かしたって言うの!? ねぇ、教えてよ!!」
嗚呼、死にたい。
「死んで、全てを終わりにしたい」
「其れが、君の願いだね?」
凜とした、良く響く声。
「フラン……さん?」
何時の間にか涙が溢れていて、フランさんの顔が歪んで見える。
「嗚呼、そうだ。君に酷い事をして、突き放された男だよ」
「で、琴葉。お前は其れを望んでいるのか? ……俺が叶えてやるから、さっさと肯定しろ」
「………葉月?」
嗚呼、もう最悪だ。如何為て此奴が。
「ぁははは……そうだよ。私は、誰かに理解して貰うって言う願いを叶えて、そして死ぬ運命だからね」
もういっその事、此の世界に居られる全ての時間、此の人達との思い出を、全て消す事に遣うんじゃ無くて―――
全て此の人達に預けてみようかな。
◇ ◆ ◇
「で、首領を殺し
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