第二章
第14話 二つの願い
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特の何かがあるのだろうか? 俺も神社でおかしな症状が出たように。
この国で王族の遺体を調べるということが許されるのかどうかは知らないが、医師による検死はしたのだろうか。
「あの遺跡は、まだ未発掘のまま放置されている。あそこは国境にかなり近い。北の国との戦争が続いている以上は、発掘に危険が伴う。
特に、父急死の混乱に乗じて北の国が占領した遺跡北東の砦は、大きな障害だ。そこを奪還しなければ、落ち着いて発掘はできぬだろう」
奪還、ということは……。
「余は発掘事業の再開のため、このたび遺跡の北東の砦を攻める予定だ」
「戦争、ですか」
「そうだ。余は父の遺志を継ぎたい」
少し俺の頭を触っている手に力が入ったが、すぐに抜けた。
「オオモリ・リクよ」
「はい」
「何と呼べばいい」
「どちらかというと下の名前で呼ばれることが多いですね。リクと」
「ではリク。もう降ろしてよいぞ」
俺はゆっくりと国王を肩から降ろした。
「今日は楽しかった。感謝する」
「あれ? 陛下。もう一つの頼みは?」
「ふふふ。もう一つは、明日の謁見の場でお前に頼むつもりだ。楽しみに待っておれ」
国王はニッコリ笑った。
そして俺の腰の辺りを軽く叩いて、クロに軽く手を振り、自室へ帰っていった。
***
翌日。
再び謁見の間に来ている。俺は片膝をついて頭を下げている状態だ。
国王の指示で、今日はクロも一緒である。
今度は不器用ながら作法も上手くいった。特に突っ込まれなかったので、致命的な問題はなかったと思われる。
爺、サンキュー。
「オオモリ・リク。頭を上げよ」
「はい」
国王が、昨日と同じ法衣姿で玉座に座っている。
昨日の夜に見せていた少年の表情はない。事務的なオーラを発しており、どこか怜悧さが混じった表情だ。
そして……。控えている部下が昨日より増えている。
もしや重臣勢揃いか? と思うくらい、威圧的なオッサンがいっぱい並んでいる。何か意味があるのだろうか。
あまりこのような状況には慣れていないので、正直怖い。
「イチジョウよりそなたのことは聞いておる。王立図書館での調査、そして首都での有識者たちへの聞き込みが円滑に運ぶよう、全面的に協力することを約束しよう」
「はい、ありがとうございます」
これは俺にとっては非常にありがたい。
国王、町長、恩に着ます。
「ただしその前に。条件がある」
「はい」
もう一つの頼みというやつだ。来たか。
「今回、このタイミングで霊獣を連れた旅人がわが国にあらわれたこと、とても余には偶然とは思えぬ。これは、わが国の勝利と繁栄を示唆するものと考える」
ふむ…
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