第二章
第14話 二つの願い
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ワシャと髪の毛をいじり始めた。
「肩車、初めてだったんですね」
「ああ。してもらった記憶はないな。わかるのか?」
「本気で嬉しそうですから」
爺いわく、国王は十二歳らしい。普通なら父親がまだ存命の年齢である。
肩車の記憶がなく、一度してほしい、ということであれば、こっそり父親に頼めばよいはずだ。
しかし、この年齢で国王に就任しているということは。父親はすでに何らかの――あまりよろしくない原因で、亡くなっている可能性が高そうだ。
急な呼び出しだったこともあるが、何も調べないで来てしまったのはまずかった。
わからないことが多すぎる。
このようなことは下手に本人に聞けない。
カイルに親のことを聞いたときと同じように、つらい思い出を呼び起こさせてしまうことになるかもしれない。
「お前の考えていることを当ててやろうか」
「……」
「『父親はどうしているのだろう。なぜ父親にもやってもらったことがないのだろうか』だろう?」
「よくわかりますね」
「何となくな。昼間の様子を見ると、お前は本当にモノを何も知らぬようだからな。どうせ、余がこの歳で国王をやることになった経緯も知らぬのだろう」
「まあ、そうですね」
お見通しか……。きっとこの国王は利発なのだろう。
そのことが、まだ子供である国王の運命を良いほうに運ぶのか、悪いほうに運ぶのか。
なんとなく歴史的には後者が多そうな気がするが、無関係な俺としてはそうならないよう祈るしかできないだろう。
「余の父はな、すでに死んでいる……」
国王は俺の頭を撫でながら、話を続けた。
「今から九年前。首都の北西に古代文明と思われる遺跡が発見された。その発掘と調査は、この国の発展に寄与することは間違いない――そう考えた父は、国を挙げて発掘をおこなうことにしたのだ」
「……」
「そして最初の発掘調査のとき、余の父も現場を視察した。当時まだ三歳だった余も連れてな」
国王の手が止まった。
「そして父は、その場で謎の奇病を発症して死んだ」
「謎の奇病?」
「余はまだはっきりと覚えている。突然大きな破裂音を発し、胸から血を吹き出しながら、倒れて死んだ。あれは一生忘れぬ」
「……」
「父の急死により、遺跡の発掘事業は中止になった。そして余は三歳で王位を継いだというわけだ。だから余は父に肩車をしてもらった記憶などはないのだ」
やはりつらい思い出だったようだ。
父親が目の前で死亡……三歳の子供には耐え難いことだったはずだ。
しかし、その父親の急死の原因は気になる。そんな病気が存在するのだろうか。
突然大きな音とともに、心臓から血を吹き出す?
そのような病気は少なくとも俺のいた日本には存在しない。この国独
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