27話:堅物・腹黒・健啖の日常
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か心苦しかっただけなのです。」
義理の兄となるグレゴール殿も将来の宇宙艦隊司令長官候補だし、私も軍部系貴族の一翼であるルントシュテット家の嫡男だ。軍部からの出席者は当然多くなったし、当家はRC社の大株主でもある。取引がある辺境領主の皆様も出席を希望されたし、建設中のイゼルローン要塞に関わる部署からも出席者が多い。私自身も近しいものだけでの式も悪くないのではと思っていたが、そうも言えない状況になってしまった。
「ビルギット嬢、せめて家の中の事はなるべく私たちの意見が通る様にしよう。しばらくは落ち着かないだろうが、あせらずゆっくり夫婦になればいいと私は思っている。」
はいっと笑顔でうなずいてくれた。焦らず良き夫になれるように励む事にしよう。
宇宙歴762年 帝国歴453年 4月上旬
アムリッツァ星域 第51補給基地
コルネリアス・フォン・ルントシュテット
「それではな。哨戒任務とはいえ最前線だ。シュタイエルマルク提督の艦隊なら心配はいらんかもしれんが。」
「はい、メルカッツ先輩もお身体にはお気を付けください。ザイトリッツも先輩は息抜きをあまりされないと心配しておりました。それにしても先輩が『紳士』とは前線に赴く前に良き話を聞けました。」
私が所属するシュタイエルマルク艦隊はアムリッツァ星域の第51補給基地で最後の大規模な補給を行い、これからイゼルローン回廊を越えて、最前線の哨戒任務に入る。叛乱軍との会敵が無ければ半年ほど哨戒する計画だ。
「お主が『腹黒』とはな。確かに要領のいい新任少尉だったが。そしてあの時のザイ坊が私の折衝相手だ。時が流れるのは早いものだ。」
先輩とは私が士官学校を卒業して配属された統帥本部で、指導係をしてもらった仲だ。そして兄とは士官学校の寮で同室だった。なにかとルントシュテット兄弟と縁がある方だ。
「ザイトリッツは何かと無茶を言うやつです。お手数をおかけしますがよろしくお願いします。それと先ほどの件は、非公式の回答という事で、提督にはお伝えするようにします。」
先輩はうなずくといつものお手本のような敬礼をして去っていった。弟、ザイトリッツとも時間を持ちたかったが、士官学校の卒業見込み者の要塞視察に付き添って今は要塞建設宙域にいるようだ。視察専用船を試作したらしく、その兼ね合いもあって入れ違いになってしまった。
「それにしても超硬度鋼で部隊章を作ろうとするとはあいつらしい。」
私は思い出し笑いを堪えきれなかった。要塞完成の暁には当然防衛部隊が新設される訳だが、どうせなら部隊章もイゼルローン要塞らしいものにすれば、士気が高まるのではないかという話らしい。それを上に伝える役回りのメルカッツ先輩も話の上げ方にさぞお悩みだったことだろう。
最後の確認は、要塞建設の折衝
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