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真ソードアート・オンライン もう一つの英雄譚
インテグラル・ファクター編
体術スキル
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「アスナ、大丈夫かなぁ……キリトさんは任せろって言ってたけど……」

コハルは心配そうに声を上げる。先日アインクラッドで初のプレイヤーの鍛冶屋に行って来た。
アスナの愛剣強化を、その場で見せてもらっていた時に事件は起こった。
βテスト時代。武器の強化が失敗すると、強化値が一つ下がるというシステムだった。しかし、その時に起こったのはロスト。剣は真っ二つに折れ、そのまま砕け散ったのだ。
βテストの時と仕様が変わったというのならそれまでなのだが、何とも考えにくい。
その後にアルゴから聞いたのだが、最近あの鍛冶屋で武器のロスト案件が多発しているらしい。今はキリトが調査に乗り出すらしい。

「ねぇアヤト。やっぱり私、アスナが心配だよ!アスナの所行こうよ!」
「……そうだな。うん、行こうか」

キリトの事が信じらない訳じゃない。それでも俺達にもできる事がないかと思ったのだ。何より、キリトにはフロアボス戦の後で俺達βテスターの疑いを一人で背負ってもらってしまった。次は俺たちで出来ることがやりたかった。

「ヨ!こんな夜遅くに二人で出歩くなんてネ〜。しかもこの方向には宿屋街ダ。ま、まさか二人は宿屋で倫理コード解除設定を─────」
「ちょっと待て!それでどうなるかは分からないけど言おうとしている事は分かったから!そんな事はしないから!!」
「わ、私たちはアスナの武器の件で何か出来る事はないかとアスナの部屋に向かうつもりだったんですよ!」
「そ、そーカ……。いやはやごめんヨ。オネーサン勘違いしちゃったヨ……」

アルゴはふぅ……と安堵の吐息を吐くと真剣な表情でこちらを見てきた。

「武器の強化失敗のペナルティで壊れる事はまずあり得なイ。これはβ版も正式版も検証済みダ」
「で、でもアスナの武器は壊れましたよ?」
「バグか何かなのか?」
「そウ。武器は壊れた。でもそれはただの強化失敗のペナルティではなかったんダ」

俺達はその事実に驚愕を露わにする。武器強化失敗のペナルティではなければ何があるというのだろうか。アルゴは続けた。

「武器破壊が起こる条件で最も可能性が高いもの。それは対象の武器の強化上限に達していてそれに更に強化を加えた場合だヨ」
「強化上限に達している武器。要するにエンド品だよな?それに強化を図った場合に壊れるって事は……」
「アスナの武器がエンド品とすり替えられたってことですか!?」
「そういうことダ。二人とも思い出してくレ。強化の最中にすり替えるタイミングは無かったカ?」

俺達は額に指を添えて記憶を探ってみる。武器を渡して、ハンマーで武器を叩く。そんな場面どこにも……。
その時、俺達の頭の中に何かが光った。俺達は大切なポイントを忘れていた。武器の強化には必ずと言っていいほど必要な部分だ。


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