第二章
第13話 国王
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突然の耐え難い頭痛。
くも膜下出血?
いや、あれはハンマーで後頭部を殴られたような痛みのはずだ。そんな感じではなかった。
電気が頭から足元にかけぬけたような衝撃。そして頭に何かを入れられ、内側から膨張させたような痛み。
何だったんだ、あれは…………。
「目が覚めたようじゃな」
「……!」
「おっと、急に起き上がらないようにな。見た感じは大したことはないと思うが、念のため今日はここに入院していきなされ」
目を開けると、そこにいたのは白衣を着た初老の男性だった。
俺はベッドに寝ているようだ。
「えっと……。ここは、首都の診療所ですか?」
「そうじゃ。その様子だと記憶もしっかりしているな。両手と両足は動くかい? あとは顔の感覚はどうだ?」
手足を動かす。しっかり動くようだ。
顔の感覚も問題ないと思う。
「大丈夫みたいです」
「そうか。なら問題ないな。おそらく脳は大丈夫じゃ」
初老の医者は、俺の名前や年齢を確認し、簡単な問診をおこなって退室した。
また入院だ。
しかし……大したことはない?
あんな症状は初めてだったが。大丈夫だということなのか。不思議だ。
「リク……」
「お、クロか。俺はまた運ばれたんだな?」
「そうだ。人間が四人がかりでな」
担架なら普通二人だ。四人ということは、輿のようなものだろうか? おそらくクロがいたから、従者だと勘違いされていた俺への扱いも丁重だったのだろう。
四人とはいえ、七十キロ近い男を丘の下まで運ぶのは大変だったと思う。
誰だか知らないけど、感謝。
「私がお前に神社に行くよう言わなければ……」
「いや、神社が関係あるかどうかまだわからないし。普通あんなことは起きないんだから。そんなことまで気にしていたら白髪が増えるぞ」
「すまない」
「いやいや、そこは『元々白髪だ。何言ってまんねん』だろう」
「……」
「……やっぱり何でもないです。ごめんなさい」
クロは俺を見つめたままだ。
気のせいか、いつもより不安そうな顔に見える。
先輩をすべらせるなんて芸人失格だぞ……クロ。
***
次の日の朝。
初老の医師が病室に入ってきて、声をかけてきた。
「オオモリ・リクくん。調子はどうかね」
「あ、はい。調子はいいですよ。すみません、いろいろお世話になってしまって」
「ほっほっほ。よいのじゃよ。それよりだ」
「それより?」
「君に呼び出し命令じゃ」
「へ? 呼び出し? 誰からです?」
「国王陛下じゃ」
医師は書面を見せてきた。
大きく「緊急」と書いてある。公的な施設に対し、城から急遽配られたものらしい。
……!?
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