第二章
第13話 国王
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」
今日着ている服はこの国で調達したものだ。見かけは外国人ではないはずだが。
「私の目には根っからの無礼者には見えぬ。単に知らなかったというだけだろう。ならばこの国の人間ではないと考えるのが自然だ」
「はあ、そうですか」
「今から私が一から教えるから、しっかり覚えなさい」
***
俺の飲み込みがあまりよくなかったようで、少し時間がかかったが。
何とか謁見時の作法は一通り覚えることができた。
もう時間は夜だ。
やたら大きなベッドに寝ながら考える。
……。
よく考えたら、作法くらい謁見の間に入る前に確認しておくべきだったかな?
兵士にお願いすれば教えてもらえたかもしれない。
いきなりの呼び出しで困惑していたので、判断が冷静ではなかった。失敗した。
「リク……。誰か来たぞ」
入口横で座っていたクロが反応した。
クロは守衛のところから俺のところに戻されており、今は同じ部屋にいる。
――コンコン。
ノックの音がする。一体誰なのだろう。
「どうぞ」
「夜に悪いな。入るぞ」
「げっ!」
現れたのは、国王だった。
俺は慌ててベッドから降りようとして、転がり落ちてしまった。
「痛っ……う……」
「おい! 大丈夫か!」
「……はい、すみません……大丈夫ですので」
俺は体勢を立て直し、片膝立ちになった。
「ああ……そんなきちんとしなくていいぞ。そのベッドで一緒に座ったまま話そう」
国王はベッドに座り、右手で俺の腕を引き寄せて右隣に座らせた。
そしてそのまま俺の左手と腕を組む。
ずいぶん昼間と様子が違う。
「昼間は悪かった。恥をかかせてしまって」
「え? あ、いえ。俺がきちんと調べていなかったので」
「礼がなっていない者に対しては必ずああいう対応をする。そうしないとどんどん崩れていってしまうから」
……。
なるほど、そういうことだったか。
国王は入口横にいたクロを、空いているほうの左手で手招きした。
俺も目で合図を出す。
クロはそれに応えて、国王の前に来た。
国王はゆっくりとクロの頭を撫でる。
「これがイチジョウの言っていた霊獣様そっくりの犬か……神々しい」
「町長のことをご存じなのですか」
「ああ、イチジョウは余の剣の師匠だ。やつは少し前までここの騎士団に剣を教えていたからな」
驚いてしまって、勢いよく首を国王のほうに回してしまった。首の骨が鳴る。
そんなことは、本人の口からはまったく聞いていなかった。
「今回、イチジョウから手紙をもらったのだ。オオモリ・リクという、霊獣に似た白い犬を連れた男が首都に向かうとな。
そして
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