第二章
第13話 国王
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兵士が整列している。
よくある中世のお城の謁見の間に近い風景だと思う。
そして玉座には……。
……。
あれ?
子供?
立派な法衣を着た、少し茶色がかった髪の子供が座っている。
あの町の孤児院の子供たちと同じくらいの歳に見える。
あそこに座っているということは、あれが国王なんだよな?
えーっと。
これ、このまま進んでいいんだよな。
てくてくと進む。
国王のすぐ前まで進んだ。
「……おい」
「あ、はい」
話しかけられた。
「そなたはこの国の謁見の作法も知らぬのか」
「え? あ、はい。すみませんよく知りません」
むしろまったく知らないというのが正確なところだ。
この国は中世やら近世やら近代やら、和やら洋やら、色んなものが入り乱れており、何が何だかさっぱりわからない。
各作法がどうなっているのかは想像もつかない。
「余は礼儀を知らぬ者には会わぬ」
「はい、すみません……」
「だが余は寛大な男だ。もう一度チャンスをやろう」
どこかで聞いたセリフだ。
余は寛大な男だ……ダイエット失敗も三度までは許そう、という夫婦喧嘩の話だったっけ?
ん? 少し違ったか。よく覚えていない。
「そなた。オオモリ・リクと言ったな」
「はい。そうです」
「今日の宿はもう取っているのか」
「いえ、まだですが」
「謁見のやり直しは明日だ。今日はこの城に部屋を用意してやる。そこに泊まれ」
「はい」
「おい、爺!」
「はい。ここにおります」
入口に、髪も髭も白いものが混じっている初老の男性があらわれた。
「頼むぞ」
「かしこまりました」
俺は退室、いや追い出されたのだろう。
明日仕切り直すこととなった。
まるで、挨拶を忘れて職員室に入り、入るところからやり直しを命じられた生徒のようだった。
爺と呼ばれていた人物に連れられ、客人用と思われる部屋に入る。
今の心情はというと……。
――理不尽だ。あのクソガキ国王め。
何なんだよ。呼んだのはそっちだぞ?
それに従って行ったら「礼儀を知らぬ者には会わぬ」って、何だそりゃ。
こっちは別に会いたくねーよ。
といった具合だ。
「ふふふ。いきなり追い払われてしまったな」
「いやー。もう訳がわかりません」
「はっはっは。おぬし、顔はいいのに作法は全然なっていなかったからな」
「顔は関係ないような気がしますが」
「おお、そうだな。はっはっは」
何がそんなに楽しいのかわからないが、ずいぶん笑っている。
「おぬし、この国の人間ではないな?」
「……? 確かにこの国の人間ではありませんが。何で知っているんですか
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