二十二匹め
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習させねば覚えぬではないか」
タマモが踵を返す。
「どちらへ?」
「中庭じゃ」
王宮中庭(練兵場)
「何をするんですかお婆様?」
「エナジードレインの練習に決まっておろう」
タマモが対面するシラヌイの手を握る。
「?」
「ゆくぞ」
シラヌイは自分の中から何かが流れ出ていくのを感じ取った。
だが、それは僅かな物だ。
「?」
「お主ほどの魔力量ならば、この程度のエナジードレインでは動じもせんか」
「お婆様も使えるの?」
「儂は『九尾』じゃぞ?
もっとも儂の場合は房中術の応用じゃが」
「なるほど…房中術…」
それをよくわからない顔で見つめるボーデン。
「タマモ様。シラヌイの魔力量ってどんくらいなんです?」
「そうじゃのぅ…中級魔力測定器で測定不能じゃったから……最低でもB。
もしかしたらAの大台に乗っておるやもしれん」
「A……通りでディアマンタイト製ナイフなんて錬成できるわけだ…」
ボーデンはローブの裏地に着けたナイフに手を伸ばした。
「話を戻すぞ。シラヌイ、エナジードレインされる感覚はわかったな?」
「はいお婆様」
「ではその逆の事象を思え。それでエナジードレインが発動する」
「そんな簡単なの?」
「うむ。 そんな簡単だ」
シラヌイが目を瞑る。
(流れ出る感覚…流れ出させる感覚?
栓を抜く? それとも吸い出す?
ポンプで吸い出す。これで行こう)
瞬間、タマモからシラヌイへ力が流れる。
「お? お? おぉー?」
「ちゃんと発動できたな」
「はい。なんか、手が暖かいです」
「強めれば熱くなるぞ」
(もっとあつく…『熱く』と言えば…
もっと、熱くなれよぉおおおおおおおお!!!)
タマモと繋がれたシラヌイの手が光を放つ。
刹那。
ピッ!と音がした。
「よすんじゃシラヌイ!」
「え?」
小さな手が、白魚のような手が、真っ赤に爆ぜた。
「━━━━━━━━━━っ!?」
シラヌイは咄嗟に手を離したが…
ゴポ…と口から血が溢れた。
「げほっ…!? がっ!」
そのままクラリとバランスを崩し……
「シラヌイ!」
その体が崩れ落ちた。
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