白髪の少女
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後に殺気を感じすぐに扉から離れる。
次の瞬間、鋭利な刃物が扉から飛び出しゆっくりと扉を斜めに切りさく。ゆっくりと扉が倒れ、1人の喰種捜査官が入ってきた。
「やぁ……何やら喰種の匂いを感じ取りましてここに来たんだが…君が白龍でよろしいかね?」
暗い雰囲気を持ち、猫背で、常時、手に白い手袋をつけていた。その捜査官の頬を白い尾赫が過ぎ去る。
「おやおや手癖が悪いようだ」
「尻尾癖だよ。私はまだ捕まるわけにはいかない」
「人が生きているのに罪は無いが、喰種は生きてるだけで罪。君は私のクインケにしてあげよう」
喰種と捜査官との戦いが始まる。お互い1体1での勝負、力が拮抗し長引くかと思われていた勝負は、すぐに決着がついた。
「…うぅ……」
体中が傷だらけになり、壁を背に座り込む少女。その様子を見て捜査官は拍子抜けしていた。
「Aレートの割にあっさり倒せてしまったな」
「……な…んで……なんでお前が…その赫子を持って……」
肩で息をし途切れ途切れに言葉を繋げる。その少女の目は真っ直ぐに捜査官の手を見つめる。その手には1つのクインケが握られていた。
「あぁ、これか? 何故かは知らないが、Sレートの喰種の死体があってな。私が有効活用させてもらったよ」
「ふざけるな……彼はちゃんと私が…」
「君の推察どうり。死体は埋まっていたさ、そこから君の居場所がバレたというわけなんだがね」
コイツまさか…墓を?
「……この外道が…地獄に落ちろ!!」
尾赫で攻撃を仕掛けるが、捜査官が手に持っていたクインケを前に出すと尾赫の攻撃が止まる。
「っ!!……」
頬を伝う一粒の涙が床へと落ちる。
私はどうして殺されるの?
私が人間だったら殺されてなかったの?
どんなに人間らしく振舞っても……どれだけ人間の食事を美味しそうに食べれても…喰種だからという理由で殺されるの?
なんで? どうして? わたしには分からない。
もう……疲れた。
「殺して……」
力なく倒れこみ。乾いた地面を見つめる。
「さっきとは言っていることが違うが……まぁいいだろう。君の赫子からどんなクインケが出来るか楽しみだよ」
ゆっくりと近づく捜査官、死を待つ喰種は悲しい眼差しで天井を眺めていた。そこは建設途中のビル、床などなく風が吹き抜け上を見上げると雨が降っていたはずがいつのまにか止み、空には星が輝いていた。
雨で湿ったアスファルトの上を、鮮血が生き物のように進み一定の砂をゆっくりと運ぶ。瞼がゆっくりと閉じていく中、彼女が最後に見たのは彼女の隣に咲いていた黄色いユリの花だった。
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