26話:ザイ坊と兄貴の日
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生の不満を少しでも和らげようという物なのかもしれない。ただ、縁もない連中に高いメシを食わせるつもりはないので、気配りはするが接待とは受け取られない程度にしようと思う。媚びているなどと誤解されても迷惑だしな。
会食とは違うが、久しぶりにお茶を飲みながら、フランツ先輩とも話をする機会を持てた。先輩はマリーンドルフ伯爵家に恥じない名門校の地方行政に関わる学科に入学し3年勉学に努めていた。4年次に卒業論文として、イゼルローン要塞の資材調達に端を発した辺境星域の特需について書こうと思っているらしい。機密に関わる部分は話せなかったが、発表前に確認させてもらうことを条件にかなり突っ込んだ話をした。
マリーンドルフ伯爵家の嫡男でなければ、ケーフェンヒラー男爵の良い弟子になりそうだが先輩の事情で、スカウトするのはあきらめた。当代のマリーンドルフ伯は高齢とのことで、卒業後は領地経営を担うことになるそうだ。
またそういう時期なのか、ヴェストパーレ男爵が運営している音楽学校で古典音楽を専攻している令嬢を紹介され、おそらく婚約することになるとのことだ。紹介の場はヴェストパーレ男爵夫人のサロンだったらしいが、美術やら古典音楽やらが主な話題で、正直困ったようだ。サロンの参加者を募集しているらしく誘われたが、さすがに興味がない分野に時間を割くほど余裕はない。お断りしたが、よくよく聞いてみるとどうやら女性が多く、男性の同行者を欲しがっていた様だ。フランツ先輩、犠牲者は一人で十分です。
多忙な会食の日々を送っていた俺だったが、今日の会食は久しぶりの兄貴との会食だ。右腕ことフランツ教官とパトリックをお供に、マスターの店に向かう。マスターの店も商売繁盛していて2階の個室も予約がかなり入る様になっていた。なので去年の今頃少し出資させてもらい、外側から見ると別の入り口から入るVIPルームを作ってもらった。そこを使っているのはRC社の関係者か兄貴の関係者だけだ。
部屋に入ると、兄貴たちが酒を傾けていた。
「おお!ザイ坊。久しぶりじゃな。だいぶ背が伸びたな。すこし驚いたぞ。」
「兄貴、叔父貴、ご無沙汰だったね。季節ごとにやり取りは叔父貴としていたけど、ちゃんと会えるのを楽しみにしていたよ。捕虜交換が荒れた件以来だから8年近いかな。新顔を紹介するよ。お小言だ。俺の乳兄弟だからよろしくね。」
おれはパトリックを紹介した。15歳ながら俺の身長はすでに170cmを越えている。まだ伸びているから、前世と比べても身長はかなり高くなりそうだ。もちろん軍事教練もさぼっていないから、事務屋のわりにボクサーみたいな体型を維持できている。
「うむ。お小言とやら、私は兄貴、横のは叔父貴じゃ。よろしく頼むぞ。しかし8年ぶりとはいえ、このところ事が多かった。ザイ坊の身長を見るまで
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