暁 〜小説投稿サイト〜
稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
26話:ザイ坊と兄貴の日
[1/4]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
宇宙歴762年 帝国歴453年 1月下旬
首都星オーディン ルントシュテット邸
ザイトリッツ・フォン・ルントシュテット

恒例の一家そろっての年末年始をすごしたあと、俺は何故か会食の日々だった。別に長兄の婚約が決まったから次兄と末弟もお相手探しをして来い!という訳ではない。

何だろう、俺はまだ利権を失ったことは無いが、利権を失いたくないという気持ちがどんな物かをまじまじと感じる日々だった。

何が起きたかというと、この一年のザイトリッツの日の権利者どもから会食を連日セッティングされたのだ。そもそも俺の士官学校首席合格をネタに、大規模な会食を開くことをテオドール氏が中心になって画策してしていたらしいが、肝心のみんなのお財布ことザイトリッツは、大した説明もないままイゼルローン要塞の建設資材調達の為、アムリッツァ星域の第51補給基地へ旅立ってしまった。その悲劇から9か月、彼らはひたすら機会を待っていた訳だ。

幼年学校の後輩だけでなく、士官学校に進んだ同期たちも期ごとのテストの総合成績の上位者や各学科の上位者の名簿をつくり、ルントシュテット家は毎年年末年始をオーディンで家族揃って過ごすことを確認すると、一部の者は帰省を取りやめてまで、利権の行使の場を待った訳だ。

正直、他にすることがあるだろうとは思うが、実技の成績上位者テオドール・フォン・ファーレンハイト氏によると、これは必要なこと!だそうだ。とは言え、そこまでされて渋るほど、俺も付き合いが悪い人間ではない。連日のランチはマスターの店で会食をする事になった。マスターは連日の予約に気を利かせてくれたのか、毎日違うメニューを用意してくれた。さすがはマスターだ。これからもひいきにさせてもらおう。

この会食は俺にとっても別に不利益なものでは無かった。入校以来、一度も登校していない士官学校の様子が聞けたからだ。幻の首席合格とか言われていると語ってくれたのは、実技だけでなく健啖の分野でも優秀なテオドール氏だ。勅命の要塞建設に既に関わり、候補生として少尉待遇で軍務についていると言えば聞こえは良いが、実際に士官学校で研鑽を積んでいる連中からすると、素直に評価はできないというのが実情のようだ。

何とも思わないと言えばウソになるが、士官学校を中退して准尉任官で資材調達に関わり、要塞完成とともに退役してビジネスに軸足を置くことを狙っていたとはまだ洩らせない様だ。ただ、年間標準戦艦84000隻分の資材を集める仕事を代わりたいという奴はいないだろう。実績があればある程度、特別扱いが通る独裁制の下でも、首席合格だけでは本来こんな対応はありえない。同期はともかく、先輩方は面白くは思っていないだろう。

ここで気づいたことだが、士官学校の卒業見込み者の要塞建設現場視察の手配を俺にやらせるのは、この上級
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ