第七十話 セビーリアに向かいその六
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「ボルジア家の」
「ボルジア家ってチェーザレ=ボルジアのな」
「はい、そのチェーザレ=ボルジアの父親であり」
教皇だけでなくカトリックの聖職者は妻帯出来ない、だから当時から真実は誰もが知っていたがチェーザレ=ボルジアと彼の兄弟達は全て教皇の弟の子とされていた。
「ローマ教皇でした」
「あの家の主だったんだな」
「非常に奸智に長けた謀略家だったと言われています」
しかも強欲で好色だったと言われている。
「しかし学問には秀でていまして」
「博士号を三つ持っていたんだな」
「その神学とです」
ここで順一はその神学を言った。
「哲学、法学です」
「そのどちらも神学から派生してるんだな」
「ですからまずは神学を修め」
そしてというのだ。
「そこから法学、哲学に進んでいったかと」
「その教皇さんもか」
「はい、そうだったと思います」
「まずは神学なんだな」
「あちらは」
欧州はというのだ。
「ですからばらばらの学問をそれぞれ修得したのではなく」
「同じ系統の学問をか」
「学んでいたと考えられます」
そのアレクサンドル六世もというのだ。
「ボローニャ大学はじまって以来の秀才と言われたそうですが」
「神学って幹を修めてか」
「哲学、法学の枝もです」
「そうなるんだな」
「はい、このことからもわかる通り」
「俺達の世界じゃ学問はまず神学か」
「そこまで重要なものです」
基礎になっているものだからだというのだ。
「言語ではラテン語です」
「ああ、ローマ帝国の言葉か」
「これが根であり幹です」
「欧州は幹があるんだな」
「学問にも言語にも」
「成程な」
「はい、しかしこの世界はまた違いますね」
順一はここで自分達の世界のことを話した。
「キリスト教が絶対のものになっていないので」
「他に宗教もあってな」
「はい、ですから」
「俺達の世界までにはいっていないか」
「どうもこの世界の学問は一本の大樹で成り立っていないですね」
「キリスト教だけじゃないからだな」
「はい、ギリシアや北欧の神々への信仰もあり」
これまで見てきた通りにというのだ、北の方にもギリシアの神々の信者達はいるし南の方でも北欧の神々が信じられている。
その証にだ、順一はこう言った。
「この船の船首の像は」
「ああ、あれもな」
「エーギルですね」
「北欧神話の海の神様だよな」
濃い髭を生やした恰幅のいい初老の男の姿をしている、身なりは質素なものだ。
「まさに」
「はい、北欧の神々も信仰されていて」
そしてというのだ。
「ギリシアの神々もまた」
「だから三つの宗教への信仰があってか」
「言うなら三本の大樹があり」
「根や幹もそれだけあってな」
「枝もです」
つまり他の
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