第七十話 セビーリアに向かいその四
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「これがね」
「そうだよな」
「うん、だからね」
「鮫の刺身もな」
「聞かないね」
「どっちも匂いがあるからな」
アンモニア臭だ、鮫やエイは体内のアンモニアが多くその匂いがきついのだ。
「だからな」
「うん、どうしても生ではね」
「食わないな」
「だから煮凝りとか蒲鉾にして食べるんだよ」
「他の食い方もあるけれどな」
エイの口から針を取った、針は奇麗に取れた。
「ステーキとかな」
「ステーキにする?」
「いや、そんな気分じゃないからな」
ステーキ、それを食べる気はしないというのだ。今は。
「だからな」
「もう放すんだね」
「ハマチでも釣れればな」
この魚ならというのだ。
「別だけれどな」
「ハマチだね」
「鯛でもいいぜ」
この魚でもと言う芳直だった。
「とにかくな」
「エイはだね」
「いいさ」
もうエイは放した、そして湖の中に戻していた。
「これでな」
「それじゃあまただね」
「釣りを続けるな」
「そうして時間を潰していくんだね」
「セビーリアまでな」
こう言って実際にだった、芳直は釣りで時間を潰した。他の面々もそれぞれ鍛錬や寝たり書を読んだりして時間を潰していた。
久志は書斎で本を読んでいたが難しい顔で共に書を読んでいる順一に言った。
「この神学の書ってカトリックか」
「そうですね、その書は」
実際にとだ、順一も答えた。
「私も先程読みましたが」
「そうなんだな」
「カトリックの書です」
「いや、同じキリスト教でもな」
「カトリックとプロテスタント、正教でですね」
「それぞれ違うんだな」
順一に読みつつ述べた。
「そうなんだな」
「はい、その違いがです」
「大事なんだな」
「同じキリスト教ですが」
このことは変わらないがというのだ。
「しかしです」
「それでいてか」
「はい、違う部分がです」
「あるんだな」
「そうなのです」
「それでそれが政治とかにも関係するんだな」
「この島は私達の世界程ではないですが」
それでもというのだ。
「やはりです」
「宗派の違いが政治に関係するんだな」
「この世界ではキリスト教だけではありませんが」
ギリシアや北欧への神々への信仰も併存している、そうした世界なのだ。
「ですがキリスト教も勢力があり」
「宗派の違いは頭に入れないとな」
「政治を行う際いらぬトラブルを抱えてしまうことも」
その場合もというのだ。
「有り得るので」
「だからだよな」
「はい、やはりです」
「宗派の違いは頭に入れておくべきか」
「そうしましょう、後芳直君ですが」
彼のことについてはだ、順一はこう話した。
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