24話:特別候補生
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衝をする実務担当者だ。当初は別の佐官が担当していたがまあやりにくい。他に候補となるのがケーフェンヒラー男爵だが元大佐で爵位もちというと実務レベルでの折衝というより、最後の契約段階で顔を出すレベルだ。
そういう訳で、長兄とも親しく、俺とも知己があったメルカッツ先輩が実務レベルでの折衝役として選ばれたと言う訳だ。ただし、先輩は若干事務仕事を苦手としている雰囲気があるのでこれを機会に事務能力も鍛えようという意図も透けて見える。
「うむ。まあ非公式の場ではメルカッツ先輩で構わないぞ。それで士官学校の卒業前に予定されている視察の件で、ひな型がまとまったので事前に確認してもらおうと思ってな。」
「それはありがとうございます。役目なので手配はしておりますが、期末の段階ではイゼルローン要塞の円周が分かるくらいですし、どこまで見識が深まるか疑問ですが。」
「まあ、そう言うな。いずれ要塞に配属される者もおるだろうし、人工天体クラスの宇宙要塞建造など何度もある話ではあるまい。見分させておきたいという気持ちもわからなくはない。」
「メルカッツ先輩はお優しいですね。ただ、厄介ごとを押し付けられたんですから少しくらいは自己主張されないと、貧乏くじを引かされますよ。」
そういって先輩に視線を向けると、少し困った顔をしていた。
「資料は確認しておきます。それより年末年始は帰省されるのですか?もし帰省されるのならご一緒に如何でしょう?シャンタウ星域経由になりますが、ほぼ直行になりますので軍の定期便を使うよりも早く戻れます。厄介な交渉を押し付けられたのですからこれ位の役得はあっていいと思いますし、交渉相手とある程度の関係性を作ることもお役目に入ると思いますが。」
「それもそうだな。では同乗させてもらうとしよう。」
そういうとメルカッツ先輩はお手本のような敬礼をして事務官室から出て行った。今回の帰省ではルントシュテット領も少し視察予定だ。メルカッツ先輩は任務に真面目なのはいいが息抜きをしている気配がない。少しは気晴らしになればいいが。
領地でも初等教育学校が本格的に運営を開始したし、人口密集地から中等教育学校の設立も始まっている。資料では確認しているが一度見ておきたい。なによりルントシュテット家はRC社の最初の顧客だ。しっかりケアしておかないと。
先輩が置いて行った資料を確認しながら、まあ、士官学校の先輩方と縁を結べるのでそれも悪くないかなどと思っていると、数人の人の気配が近づいてくる。連中が戻ったのかなあと予想したが、予想は的中の様だ。
「ザイトリッツ様、ただいま戻りました。資料で概要を確認はしましたが、実際に見ると何やら凄まじさを感じました。何かを学び取るというのは難しいかもしれませんが、心に問いかけるような部分はござい
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