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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
23話:動き出すRC社
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この店の料理は確かに旨いし、酒もこだわったものを出しているが、こんな話を聞かされてはオチオチ楽しみにも出来ないだろう。

「それでどうです?私の見込みでは余程の大事故でもないかぎり、多少の利益はだせると思いますし、RC社全体で考えればかなり利益が出る案件だと思っているのですが。」

「少し細かい部分のご意見を伺いたいのですが宜しいでしょうか?」

意を決したようにロイエンタール卿が声を上げた。特に超硬度鋼やスーパーセラミックは民間での用途が無い為、軍用で引き取り手がないと生産設備を立ち上げるのはかなりのリスクだ。だがその辺りも我らが主は認識済みだったようだ。

「危惧される部分はごもっともですね。お二人にお声がけしてよかった。とはいえ超硬度鋼やスーパーセラミックの件はそこまで心配していません。5年から6年後までに根回しする予定の話なのですが、物資の集積拠点をそのまま艦隊の駐留・メンテナンス拠点にする形で有効利用する方向にもって行くつもりです。その時にならないと分かりませんが、駐留基地化する際に、艦船開発部門も誘致しようと考えています。超硬度鋼やスーパーセラミックは現段階では高額な素材ですが、これだけの規模で量産すれば戦闘艦に常用できる程度まで価格も下がるでしょうし、辺境の方が防諜もしやすいでしょうから。叛乱軍の捕獲艦なども合わせて分析できれば、かなりの戦力強化も見込めるでしょう。軍からも無尽蔵にとは言いませんが、予算を割いて頂けるでしょうし。」

まあ、予想通りだな。大きな抜け漏れが無いか、確認するために我らを呼ばれたのだ。そして抜け漏れはなく、むしろ我らに見えていないものまで見えている。

「お二人と意見交換ができて安心できました。このお話は受ける方向で進めます。明日からでよいですが、体制を整えるために動いてください。元手はいくらあってもいいでしょうから、私の個人資産の方も、RC社の口座の方に入れておきます。必要だと思うことは全て手配りしてください。」

ああ、明日から激務が確定した。ご信頼頂いているし高給で雇われている。そしてなにより歴史に残る事業になるだろう。

「では、私はこれで。今日の払いは私が持ちますから、御二人はしっかり鋭気を養ってください。では!」

そういうと、我らの主は部屋を出て行った。ロイエンタール卿はまだこちらの世界に戻ってきていない。すべきことを頭の中で列挙しているのだろう。しばらくすると、この店のマスターが嬉しそうに料理と酒を運んできた。まさに嵐が去った後のような心境だ。

マスターが部屋を出ていくと、残った二人で静かにグラスを交わした。こんな大きな案件が控えているとなれば、どんな美酒であれ酔えるはずがない。ロイエンタール卿も同じ気持ちだったのだろう。美酒なはずの酒を口にしながらお互い
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