23話:動き出すRC社
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か年計画でとある施設を作ることをお考えです。事業規模は約45兆帝国マルク。年間あたり標準戦艦約84000隻分の資材をRC社で取りまとめできるかというご依頼です。私の概算ですが、設備投資を行えばなんとか調達できるでしょうが、設備投資を5年で回収するのはギリギリでしょう。なのでこの案件をきっちりやり遂げた暁には増産分の納品先を数年は手配していただける旨もお約束頂けている状況です。」
メモ用紙には超硬度鋼やスーパーセラミックと言った文言も書かれている。重要な文言であるはずだが、話が大きすぎて頭がついてこない。おもわず手元にあった水の入ったグラスを呷った。横をみるとロイエンタール卿も45兆・・・。84000隻・・・。などと呟きながらなんとか落ち着こうとしている。おそらくこの案件はザイトリッツ様の本気の無茶なのだろう。
「ザイトリッツ様。話が大きすぎて冷静に考える必要がございます。少し落ち着く時間を頂いてもよろしいでしょうか?」私がそういうと
「それもそうですね。私も少し浮付いていたかもしれません。さすがにアルコールはふさわしくないでしょうから、何か飲み物とつまむものを頼んできましょう。」
そう言って席を立つと、ドアを開けて階下に向かっていった。開いたドアから従士のフランツ殿が控えているのが見える。一瞬目が合ったが、フランツ殿はこちらを気遣うように会釈し、主の後に続いて行った。落ち着く意味でもここは私から声をかけたほうがいいだろう。
「ロイエンタール卿、私も色々と無茶な話を振られたが、これは特大級だ。少し冷静になって考えねばなるまい。ただ、ザイトリッツ様はおそらく受ける方向でお考えのはずだ。極秘の案件なのだろうが要旨は明確だ。ご自分の予測に大きな抜け漏れがないかを確認する意味で我らをお呼びになったのだろう。」
「すこし落ち着きました。事業規模45兆帝国マルクなどという案件が現実世界にあるとは思いませず、情けない所をお見せしました。お忘れください。」
少しは落ち着けたようだ。
「お戻りになるまでは、お互い考えることに集中しよう。またなにか無茶を言われるであろうし。」
そう私が言うと、ロイエンタール卿は絶望するかのような表情を浮かべた。私はその表情を見なかったことにして、自分なりの見解を考える。結論としては余程の抜け漏れか大規模な事故でも起きない限り、利益は出せるだろうし、利益が出なくても投資分を考えればRC社としては利益確保できるだろう。と見込んだタイミングで、主が部屋に戻ってきた。
「適当にお任せで摘まめるものを頼んできました。お二人は特に嫌いなものはありませんでしたよね?話が終わってからになりますが、マスターが是非にと勧めるウイスキーがあるようです。私は晩餐がありますので、後程お二人で楽しんでください。」
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