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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
22話:けじめと大きな依頼
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カミラの事を仮になかったこととしても、あの方々は誰かを許したことがあるのでしょうか?許したこともないのに自分たちだけが許しを請うのはいささか強欲かと存じます。」

私がそう回答すると、

「ではおばあ様、口添えの話は全て断ってください。グリンメルスハウゼン子爵には私の方から先ほどの主旨を認めて返答させて頂きます。パトリック、カミラの件はこれでけじめがつくが、弱者を踏みつけている連中はまだまだいる。一人でも多くの領民と臣民が笑って過ごせるようにこれからも励んでくれ。」

「はい。心得てございます。」

私が返答をすると、メイドがザイトリッツ様にお客様が到着された旨を伝えてきた。

「おばあ様、お客様をお待たせするわけには参りません。ここで失礼いたします。」

ザイトリッツ様がサロンから出ていくが、大奥様に少し残るように言われた。少し間を置いてからお話を始められた。

「パトリック。あの子は幼少のころから優秀で私の期待にも精一杯応えてくれました。ただいささか溺愛しすぎたかもしれません。気性が激しいというか、決めた事は曲げない頑固なところがあるというか。たまに危なっかしい所も感じるの。あの子がやりすぎそうな時には貴方に諫めてもらいたいの。お願いできるかしら。」

「もちろんです。とはいえザイトリッツ様は私のはるか先を見ておられますのでお力になれるのか正直不安になる程ですが。」

「良いのです。先を見る人間ほど足元がおろそかになるもの。貴方が足元を見てくれれば
私も安心ですから。」

大奥様の言葉に救われる気持ちがした。正直、自分がお仕えしていてお役に立てているのか悩むことが多かった。RC社の経営、同期や後輩との食事会、お忙しいのにも関わらず、幼年学校では5年間首席を譲ることは無かったし、来期から入学する士官学校も首席合格だ。私も必死に務めたが、なんとか上位合格となる100番以内に滑り込むのがやっとだった。だが、ザイトリッツ様の足元をお守りする事なら出来る。この時から悩まずにお仕えできそうだ。


宇宙歴761年 帝国歴452年 2月初頭
首都星オーディン ルントシュテット邸
ニクラウス・フォン・ルントシュテット

「父上、お待たせいたしました。お初にお目にかかります。ルントシュテット伯3男ザイトリッツでございます。」

「うむ、ザイトリッツよ。こちらはリューデリッツ伯だ。私が予備役入りした後、後方支援のトップを引き継いだ方だ。失礼が無いようにな。」

「セバスティアン・フォン・リューデリッツ伯爵じゃ。よろしく頼む。」

いつも感心するが我が子ザイトリッツは挨拶がうまい。こんなしっかりした挨拶ができるのになぜフリードリヒ殿下を兄貴呼ばわりするような無茶をするのか。とはいえ話を進めねばなるまい。


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