暁 〜小説投稿サイト〜
稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
22話:けじめと大きな依頼
[1/4]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
宇宙歴761年 帝国歴452年 2月初頭
首都星オーディン ルントシュテット邸
パトリック・ベッカー

「パトリック、大奥様とザイトリッツ様がお呼びだ。サロンに向かうように。」

私とザイトリッツ様の教練指導役でもある従士のフランツさんが声をかけてきた。この人と初めて会って以来、身長差はかなり縮まったものの教練で染みついた恐怖がよぎるのか、一瞬身構えてしまう。フランツさんは既に26歳、本邸のメイドのひとりと結婚して子供もいる。さすがにまだ教練は課していないだろうが、無条件に同情してしまう自分がいる。

「畏まりました。すぐに向かいます。」

キビキビと返答し、サロンへ向かった。私と我が主ザイトリッツ様は大奥様に養育されてきた。私にもザイトリッツ様にも絶対的な存在だ。お待たせする訳にはいかない。

「パトリック、お呼びとのことで参りました。」

サロンに入ると大奥様とザイトリッツ様がお茶を飲まれていた。私がチェアセットの近くで控えると、

「パトリック、大事な話があるんだ。おばあ様にも聞いて頂きたかったから同席をお願いした。座ってくれるかい?」

本来は従士が主と同席することはマナー違反なのだが、ザイトリッツ様はたまにマナーを気にせず振る舞うことがある。大奥様の手前戸惑っていると

「貴方は私の孫同然。公の場ではわきまえてもらわないといけませんがプライベートな場なのです。遠慮はいらないわ。」

大奥様もご了承されるのであれば大丈夫だろう。下座の席に腰を下ろす。

「まずはこの手紙を確認してくれ。まだ内密の話だから公言は控えて欲しい。」

ザイトリッツ様から手紙を渡される。内容を確認して驚いた。手紙はグリンメルスハウゼン子爵からのもので、皇太子リヒャルト殿下が陛下の弑逆を計ったとして自死を命じられたこと、当然皇太子を担ぎ上げていた門閥貴族には罰が下されるであろうこと。
その上で、フリードリヒ殿下や私が仕えるルントシュテット家の口添えがあれば減免の可能性もありうるし、逆に厳罰を願えばそうなる余地があるという物だった。確認の為、再度読み直した後、私はザイトリッツ様に視線を戻し、手紙をお返しした。

「カミラの事を俺はまだ忘れていない。父上や母上の伝手から口添えを頼む話も来ている様だが、この件はカミラの家族だったこの場にいる3人で決めるべきだ。パトリックの考えを聞く前に私の意見を話そう。私は許すべきではなく厳罰に処するべきだと考えている。
あの日話した通り、奴らは方々で弱いものを踏みつけて泣かせてきた。ここで口添えをして罪を減免したところで、あいつらが性根を入れ替えてまともになるだろうか?むしろ自分たちが頭を下げれば何をしても許されると増長するのがオチだと考えている。さて、お前の意見をきこうか。」

「母
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ