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ノーゲーム・ノーライフ・ディファレンシア
第10話 決着
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いた。
空からすれば、シグは最初から壊れていたのだろう。そんな相手に勝っても嬉しくない────空は最初から、そう思っていたのだ。最初から、このゲームを引き分ける結末を描いていたのだ。

「シグってな────『至愚』、極めて愚かな事を意味するんだよな。ゲームの本質を忘れた、どっかの誰かさんみてえにな?」

ゲームの本質────それは()()()()。それを忘れた虚像は、まさしく『至愚』だった。シグは、苦々しげに笑った。

「けどさ────それなら。ゲームを楽しめてた頃の()()()()()()?」

────ならば、その本質を覚えている実像は、誰だ?
そう問いかける空の言葉に、シグは思い返す。答えは分かりきっていた────少なくとも、虚像(じぶん)ではない、と。
在りし日、ゲームを純粋に楽しんだのは────仮面(じぶん)ではないと。

「そいつの名前は、俺が与える。実像の名は────『グシ』だ」

実像は、仮面を外した少年の名は────グシだ。
あの日笑った少年は。居場所ではない────生き場所を見つけた少年は。

虚像(シグ)の反対、偽りなきゲーマー。()かな()────『愚志』を。()直に()う────『愚思』だ」

もう、?に苦しまない、『愚志』を『愚思』する、そんな実像(グシ)だ。

「だから────ニューゲームをしよう」

これまでの虚像を、振り払うために。

「遊ぼうぜグシ。今度は、完全勝利してやるよ────
『  』に敗北の二文字はない」

────────。



「はは、今度は、じゃねえよ……俺の、完全敗北だ」



ポツリと。そんな言葉が、彼の口をついた。
けど、次は。生まれ変わった実像(グシ)は。今度は、負けない。今度こそ、負けない。
そう、シグは────否、グシは。仮面(シグ)を取り払った少年は、言った。

「次は負けねえよ────『  』に、敗北の味を教えてやるさ」

その声は、顔は、もう仮面越しのものではなかった。『  』を倒す────そう新たに誓ったゲーマーは、確かに自らの意思で笑った?────。
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