第10話 決着
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
いた。
空からすれば、シグは最初から壊れていたのだろう。そんな相手に勝っても嬉しくない────空は最初から、そう思っていたのだ。最初から、このゲームを引き分ける結末を描いていたのだ。
「シグってな────『至愚』、極めて愚かな事を意味するんだよな。ゲームの本質を忘れた、どっかの誰かさんみてえにな?」
ゲームの本質────それは楽しむ事。それを忘れた虚像は、まさしく『至愚』だった。シグは、苦々しげに笑った。
「けどさ────それなら。ゲームを楽しめてた頃の実像はどこだ?」
────ならば、その本質を覚えている実像は、誰だ?
そう問いかける空の言葉に、シグは思い返す。答えは分かりきっていた────少なくとも、虚像ではない、と。
在りし日、ゲームを純粋に楽しんだのは────仮面ではないと。
「そいつの名前は、俺が与える。実像の名は────『グシ』だ」
実像は、仮面を外した少年の名は────グシだ。
あの日笑った少年は。居場所ではない────生き場所を見つけた少年は。
「虚像の反対、偽りなきゲーマー。愚かな志────『愚志』を。愚直に思う────『愚思』だ」
もう、?に苦しまない、『愚志』を『愚思』する、そんな実像だ。
「だから────ニューゲームをしよう」
これまでの虚像を、振り払うために。
「遊ぼうぜグシ。今度は、完全勝利してやるよ────
『 』に敗北の二文字はない」
────────。
「はは、今度は、じゃねえよ……俺の、完全敗北だ」
ポツリと。そんな言葉が、彼の口をついた。
けど、次は。生まれ変わった実像は。今度は、負けない。今度こそ、負けない。
そう、シグは────否、グシは。仮面を取り払った少年は、言った。
「次は負けねえよ────『 』に、敗北の味を教えてやるさ」
その声は、顔は、もう仮面越しのものではなかった。『 』を倒す────そう新たに誓ったゲーマーは、確かに自らの意思で笑った?────。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ