第10話 決着
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。幼い少女が、治してくれた。
シグは立った。その目は、まさしくゲーマーのそれだった。挑戦的に、闘志を燃やしていた。
「わざわざ敵に塩を送って────後悔すんなよ?」
「大、丈夫……にぃは、勝つ」
気持ちばかりの挑発を返すシグに、だが白は空への全幅の信頼を以て返事をした。シグは再び、ゲーマーらしい笑みに顔を歪めて────静かに、空の前へと躍り出た。
「おうシグ姿現したな地球ごと消えてなくなれッ!!」
……全面的に兄を信頼する白には悪いが、今なら簡単に勝てる気がする。シグはそう感じ、内心でそっと白に謝った。
だが、壊れた空を下したとして、それで『 』に勝ったなどとは思えない。まずは正気に戻ってもらおう────シグはそう思考し、言葉を紡ぎ出した。
「なあ空。ちょっとした禅問答を一つ、どうだ?」
そう、ケラケラと目以外で笑って言う。しかしその眼差しは氷よりなお冷たく、その視線でシグは空を刺した。
その様子に、一切の悪巫山戯は存在しない────それを悟った空は、冷静になって問う。
「なに、誘導でもする気か?」
「いや?……そんなんじゃないさ」
そう言って、シグは苦々しげに笑う。そして────視線の温度をより一層下げて問うた。
「お前は────『 』として君臨する際に、一体何人の人を蹴落としてきた?」
心を閉ざし、ゲームに逃げた少年が問う。その言葉に、空は何を感じ取ったのか────ただ一言、鼻で笑うようにこう言った。
「何に悩んでるかと思えば、その程度のことかよ。んな出来た人格者がいたことが驚きだ」
────は?
困惑するシグに、空は笑って続ける。
「お前が勝ったら、詳細を教えてやるよ。さあ、ゲームを続行しよう」
言うや、銃に手を添える空。同時、シグも銃をそっと握る。
────俺の苦悩が小さい?そう言うなら、理由を聞かせてもらおうか空。
────先に銃を抜いたのは、シグだった。
銃声。空気を裂いて、双方の弾丸が敵を討たんと飛翔した。
空は、銃を先に抜いたシグより速く、腰溜めに撃っていた。刹那の判断、瞬間の反応、双方において────シグは負けた。空は、シグを越えてみせた。
だが。しかし。それでもなお。シグは笑った。
さて、そろそろ『寄せ』だろう?そろそろ、切り札のお披露目だろう?
そろそろ────勝利を掴む時だろう?
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