21話:幼年学校の日々
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いものを食べに行く日の事だ。きっかけは幼年学校があまりに禁欲的で、軍人の育成機関とは言え、飯もまずいし指導もキツイ。たまの休日に兄貴の紹介の店に食事に行こうとしたが、前世の小学校や中学校と比較して学友たちが不憫に思えた俺は、数人に声をかけて飯を食べに行くことにした。
とは言え、希望者全員を同席させるのは大変なので、総合成績の上位者や各学科の上位者に声をかけることにした。まあ頑張ったご褒美代わりに良いだろうと思っていたが、どこからか話が大きくなり、後輩もその対象になるようになった。今では休日ごとに同期やら後輩やらに飯をおごるのが日課になりつつある。
「ザイトリッツ、持たざる者に施すのは持てる者の役目だ。今までは実家で祝い事がある時に食べたものが一番美味だったが、それを吹き飛ばすような物を覚えさせたのだ。多少は責任を取らんと、反乱が起きるぞ!任官したとしても佐官クラスまで昇進せねば自力で行ける店でもないし。」
まあ、おごるのは構わないのだが、ルントシュテット家では父上が予備役になり領地経営をおばあ様と交代した。その結果、オーディンにはおばあ様がいる訳だが休日の決まり事として晩餐を一緒に取ることになっている。つまり同行者たちは人の財布を気にせずにはち切れんばかりに料理を平らげるが、俺は自重しながら食べている。いまいち納得しきれないのも事実だ。
「まあ、後輩たちとの交流の場を持てていると思えば良いとは思うけど。」
「テオドール殿、ザイトリッツ様はRC社の事もあり、既にご多忙なのです。あまり予定を増やすようなことはお控えください。」
そう、この状況を踏まえてパトリックは忠言してくれている。RC社は順風満帆。増収増益の状態だが、俺の方も大筋はしっかり把握しておきたいため、勉強に割く時間が減っていた。領地の方も初等教育学校や新設した病院の運営が始まっている。さらに休日に会食となれば予習復習の時間が取れないことになる。
それとパトリックは俺が軍人を志向していないことも、うすうす気づいている様だ。俺に爺さまを重ねているおばあ様に知られるのはまずい事だし、パトリックにとっておばあ様は俺以上に絶対的な存在だ。なので、見て見ぬふりをする代わりに学年首席という実績を上げてもらうという形で妥協してくれているのだろう。
「パトリック。私もおばあ様のご期待は理解している。裏切るような事はしないさ。」
「ご理解いただきありがとうございます。お屋敷の方もコルネリアス様が任官されザイトリッツ様が顔を出さなければ、いくら貴族同士のお付き合いがあるとはいえ大奥様がお寂しいでしょうし。」
ふむ。俺の考えすぎかもな。おばあ様から屋敷に定期的に帰らせるようにとでも特命でも受けているのかもしれん。腹黒こと次兄のコルネリアスは統帥本部から軍歴をスター
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