NEVER ENDING:二人の怪盗
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であげた方がいいんだっけ? お姉ちゃんは悲しいぞー。可愛い妹が悪者さんになったなんて……」
ラディを襲ったのは、水色の髪をした年上の少女。その右腕にはびっしりと深緑色の植物が絡みつき、その植物が伸びる先には巨大な錨に舵輪をくっつけた巨大なポケモン、ダダリン。
そしてその少女はかつて一緒に住んでいた頃ラディを動く着せ替え人形のように扱って、心にトラウマを植え付けた張本人、マズミだった。マズミはそのことに何も思ってないような、アローラのきつい日差しのように明るい笑みを変わらず向けている。
「……心にもないこと言わないでくれる? いなくなったメレメレライダーに代わる、島キャプテンのマズミ」
「うわっ、よそよそしー。まあ早速始めちゃおっか!あたしのダダリンちゃんも勇気リンリン海のイカリが有頂天だからね!悪い子は海に代わっておしおきだー!」
「……いくよレイ、みんな! マズミに勝って……私は、私らしくアローラの怪盗乱麻になる!」
「『アンカーショット』!!」
「『ジャイロボール』!!」
再び鋼どうしが激突し、ゴングのように金属音がメレメレ島に響き渡る。
「マズミさん……そうか、ラディが島キャプテンをやめたから……」
無事に宝を盗み出したらしいラディに安堵したのもつかの間、二人の激突を空から眺めるクルルクは今にも二人のところへ飛び込んでいきそうだった。隣のライチュウが制止していなければそうしていたかもしれない。
マズミとラディの関係はクルルクも知っているし、以前マズミがうちに来てラディを傷つけることをしたのも見ている。会話までは聞こえないが、今も和気あいあいには程遠い状況にしか見えない。
今回は手出し無用とスズに言い含められているとはいえ、割って入るべきなのでは。そんな焦燥に襲われていると、夜空の向こうからピジョットに乗った青年がやってきた。
「……その様子だと、どうやら来て正解だったようだな」
「リュウヤ? ……どうしてここに?」
アーカラの島キングであり、マズミやラディの義姉と深い親交がある青年は、相変わらずの平然とした表情を浮かべている。クルルクの問いに、ため息をついて答えた。
「スズの性格を考えると、お前にあの二人の事の成り行きを教えていない気がしたからな……急いで来てみれば案の定、今にも飛び込んでいきそうなお前を見つけた、というところだ」
「この一ヶ月の間に、また何かあったの?」
「ああ。……だが、先に言っておく。今から話す内容を聞いてマズミを許してやってくれとは言わない。あいつも、それを望んでいない」
「どういう意味……?」
少しの間、リュウヤはデパート屋上で戦う二人を見てしばし沈黙した。三メートルはあるダダリンを藻が絡みついた左手
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