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緑の楽園
第一章
第11話 卒業
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、カイル評では「最低限のレベルはある」とのこと。


 土曜日と日曜日については、無事に仕事が決まって働いていた。
 やはり旅に出るのにはカネが重要だ。
 大航海時代の探検家だって、カネを出してくれる王室や商人がいなかったら活動できなかったはずだ。
 気持ちだけでは遠くに行けない。

 仕事の内容は、図書館の館内清掃と書庫の整理。毎日図書館に用事がある自分にはもってこいの内容だった。
 広場や役場の掲示板で探してもなかなか仕事は見つからなかったのだが、どうしようと思っているときに、図書館の館長のほうから「人手が足りない。短期で構わないのでお願いできないか」と頼まれた。
 もちろん喜んでやりますと即答した。

 俺の身分は孤児院所属のため、労働契約は孤児院を通しておこなった。
 形式上は孤児院がスタッフを派遣するというかたちだ。報酬は一度孤児院に入り、中間搾取されてから俺のポケットに入ってくる仕組みである。
 俺としてはそのほうが気が楽だった。
 タダ飯状態なのに、働いた分は全額自分のお小遣いになるというのは、あまりにも申し訳なさすぎる。

 そんなことで、旅費も順調に貯まってきた。



 ***



「もう半年経つのか……。君にとっては長かったかね?」
「いえ、今まで生きてきた時間で一番早く過ぎてしまった半年間、という感じです」
「そうか…………。まあ、そうだろうな」

 町長は、執務室のソファーで対面に座る俺と、そして横でお座りしているクロを順番に見た。
 そして、少し目を細めて窓のほうを見た。

「最初に君のいた国の話を聞いたとき、私は内心、何てダメな国なんだと思った……」

 俺の発言は求められていない気がしたので、口を挟まず黙っていた。

「誰もが、特に理由もないのに二十二歳まで学生を続け、そこで学んだ専門知識が生きるわけでもない仕事に就く――。
 意味なく横一列の凡人を社会に放ち続ける国。しかも、そのことを誰も疑問に思わない国。そんなダメな国がこの世にあったのか、とね」

 ――ああ、本音ではやっぱりそう思っていたのか。この町長は。
 最初に会ったときは、俺を委縮させないように、だいぶ気を遣って話してくれていたのだろう。

「だが、それは私の間違いだったのかもしれないな」

 町長はこちらを向く。

「君は凡人だな?」
「あ、はい。凡人です」

 いきなり質問されてびっくりしたが、思っている通りに答える。
 たぶん、凡人だ。だからここに来て苦労することになった、ということもあると思う。

「ははは。君は面白いな」
「そうですか。俺は面白いですか……」
「ああ、凡人だと言われても少しもムキになることがない。まあ、この国ではそのような性格が欠
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