20話:入学
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でき、結婚する運びとなった。男爵は今年39歳、ローゼは35歳だ。少し高齢出産になるだろうが、幸せな家庭を築いてほしいと思う。
男爵はRC社の投資計画策定の中心的役割を担ってくれている。視察に交渉にと大忙しだ。領地は無いが男爵として見られる為、手元に資金があった方がいい。年俸100万帝国マルクで契約していてRC社では高給取りのひとりだ。
「ザイトリッツ。RC社の監査役の件、ありがたく思っている。手元に費えが無ければあの功績は立てられなかったかもしれん。」
「兄上、軍人は時に身銭を切って国家につくすと何かの本で読みました。とはいえ、偶々費えがあったとはいえ、功績をあげられたのは兄上です。謙遜なさいますな。」
長兄のローベルトは、士官学校を卒業して地方星域の哨戒部隊に任官されたが、RC社の監査役という名目で支給された資金を、情報取集に使い功績をあげていた。戦時中なので任官後一年経てば中尉に昇進するが、長兄は任官半年で中尉になり、定例昇進で大尉になっていた。
「コルネリアス兄上のご活躍も、私の耳に入っておりますよ。」
「あまりおだてないでね。今日の主役はザイトリッツだよ。」
次兄のコルネリアスも上手いお金の使い方をしていた。俺たち目線でまともな人間に限ってだが、金銭問題などを解決し、貸しを作っている。将来的には力になってくれるだろう。悲しいが、まともな家やまともな人間ほど報われない状況なのだ。門閥貴族だけが原因とは言わないが奴らが消えれば今よりまともになるだろう。
「私としては、兄上方が費えを有効に使って下さり、感謝しております。不安はございませんでしたが、中にはお酒やらに仕送りを使い倒してしまう方もおられるようなので。」
長兄も次兄も、活きるお金の使い方をしてくれている。自画自賛ではないが、監査役という名目で給与を支払った甲斐はあった。
「これからザイトリッツも実感すると思うけど、将来的に背中を任せる相手だからねえ。お互いに最低限の関係性は創っておきたいのさ。」
次兄のコルネリアスは、様になるセリフを様になるように言える辺り、サマになる男なのだろう。これは長兄にない強みだ。ただはっきりしているのは、俺は軍人を志向していないという事だ。色々と学べば変わるかと思ったが、国防費は消費されるだけで何も生まない。
俺からすると、100万の敵兵を殺すより100万の臣民の生活を成り立たせる方が大業だと思う。とはいえルントシュテット家は軍に近い貴族だ。そんなことを言い募っては、父上や兄上たちの立場を害すだろう。何よりおばあ様の期待に背くことにもなってしまう。
まずは無難に幼年学校の優等生を演じようと思う。正直、成績云々の前に、士官学校に進む意欲は今は無い。ただそんなことを言い出せば問題になる立場だ。もう少し
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