20話:入学
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C社は設立してすぐに帰還兵を雇用して輸送船団の運航を開始したが辺境星域の各星系ごとに、出資比率1:1で投資を目的とした合弁会社の設立を提案した。ただし、出資金が出せない場合は将来の収益を担保とすることを容認する形で契約のひな型を作った。意図としては、星系ごとに共同出資した企業を主体に、インフラ・農園・鉱山に投資する事だが、想像以上に交渉が早くまとまった。
理由としては原資がない辺境貴族たちを意識して、将来の利益配分から後払いを認めた点にあった。当初は話がうますぎると疑う者もいたようだが、RC社の資金が無限でない以上早く契約しなければ話がなくなるという噂が流れ、競うように話がまとまった。
とは言え開発計画を立てるにあたって、俺自身が視察に回れる案件数を超えていた。帰還兵の中で後方支援に関わっていた者たちや、ケーフェンヒラー男爵の伝手で、地方行政を専門としながら予算が無いので無力感を感じている者たちに声をかけて引き抜いた事で、辺境星域全体の投資計画を立てる事が出来た。結果、想定以上に早く収益化ができた。個人的には優秀な人材が確保できて喜ばしかったが、RC社は決して破格の条件を出しているわけでは無い。不遇を囲う人材がここまでいるのかと帝国の今後がかなり心配になった。
「母上、それほどお待たせすることは無いでしょう。RC社の貢献もあり軍の方でも後方支援という観点ではかなり余裕が出来ましたし、私ももう45です。そろそろ領地経営を担って領民に顔を覚えてもらわねばなりませんし、母上がオーディンに来て下さるなら貴族対策の面でも安心ですから。」
父上が大将に昇進して3年。上級大将になるには後方支援だけでなく前線での戦功が必要だろう。とはいえ、父上の本来の役目はルントシュテット家の当主として領地経営を行う事だ。戦死のリスクを冒してまで昇進を狙う必要もないだろう。
「そうなってほしいわ。私も気づいたら64歳。引継ぎしておかないと不安でもありましたからね。」
おばあ様はにこやかな表情で言葉を紡いだ。俺自身、おばあ様孝行ができる内に孝行しておこうと思っている。シリアスな話が続くが、この2年でおめでたい事もあった。
ケーフェンヒラー男爵の再婚が決まったのだ。お相手はなんと俺の主治医でもあったローザだ。領地の医療施設を充実させる観点から、おばあ様は信頼できる医師資格所持者ローザを、アドバイザー的な立場で呼び寄せていた。
ローザ自身も、人口の多いオーディンの方が結婚相手が見つかりやすいと考えオーディンの軍病院に勤務していたが、良さそうな相手は既婚者だったり戦死したりした為、色々感じることがあったようだ。当初はルントシュテット領の医療機関立ち上げに携わっていたが、辺境星域全体の動きを担当する男爵に、色々とアドバイスを求められたのがきっかけで縁が
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