STAGE3-3:模犯怪盗の向こう側へ
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「……ううん。そうしたい…ってさっきバトルしなかったら言ってたと思うけど、今は違うわ」
「……聞きましょう」
「私がなりたいのは、クルルクと対等に競える怪盗。クルルクが全ての問題に答える『模範怪盗』とは別の『怪盗』に……なる!」
スズは目を閉じる。しばらく考えるように眉をよせたあと、御言葉を伝える天使のように優しく、そして命じた。
「わかりました……では、あなたはこの地方における二人目の怪盗。クルルクへのスポイラーとしてこの地方のために、貴女自身の表現したいポケモンバトルを皆に見せてください」
「……ありがとう、スズ!」
「ラディがこの一年思い悩んでいるのはわかっていたのでこちらから何か代案を出すこともかんがえていましたが……やはり、あなたが自分から言い出してくれるのを待って正解でしたよ」
クルルク同様、島の代表者同士のポケモンバトルとは違う突発的なエンターテイメントを提供する立場として、そしてクルルクの好敵手としての怪盗に任命する。ラディの望みどおりに。
「さて、では考えないといけませんね。ラディの怪盗としての名前を」
クルルクが『模犯怪盗』を名乗っている以上、それに対抗するラディがただの怪盗では味気ない。そこへクルルクが口を挟んだ。
「それじゃあ……『怪盗乱麻』はどうかな」
「『快刀乱麻』。難しい状況もたちまち捌ききる様……ですね。いいと思いますよ? ラディが憧れた怪盗から名前をもらうというのも素敵ですしね」
「かっこいいと思うけど……どうしてその言葉を?」
ラディの疑問に、クルルクは頷いて答える。
「ラディの名前……グラディウス、は剣を意味する言葉だからさ。剣に関わる言葉でふと思い浮かんだだけだから、全然別のにしてくれて構わないんだけど──」
珍しく気恥ずかしそうに言うクルルクに、ラディは首を振る。
「『怪盗乱麻』グラディウス……うん、私、気に入った。スズ、これでいいわよね?」
「貴女が満足できるのなら、なんら問題ありません──では話もまとまったことですし、しばらくラディはここにいてくださいね? いろいろやることがありますから」
「やること?」
「はい、怪盗として色々教えておくこともありますし、何より必要な衣装や道具を貴女用に作らないといけません」
「衣装……!」
せっかく自分らしく怪盗をやるのに、何から何まで私が用意するだけじゃつまらないですよね?とスズはラディに向けて柔和な笑みを浮かべる。
「というわけでしばらくラディにはこちらにいてもらいますので、クルルクはお帰りくださいな」
「うん、わかったよ。……頑張ってね」
自分と対等の立場を望んだ彼女に言葉をかけて、踵を返す。その背中に、ラディが叫ぶ。
「……ありがとう、クルルク!初めて会った時から
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